「衝突安全」-Collision Safety-

安全に移動するためにますます必要性と関心が高まっている「衝突安全」がテーマです.日本の交通事故の現状から国内外の安全基準とアセスメント,さらに軽自動車から最近話題の大型バス,スポーツカー,EVまでの安全技術について幅広く紹介.改めて衝突安全の必要性,重要性を感じていただける特集です.

このページについて

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わが国の最近の交通事故情勢

近年の交通事故死者数は減少傾向にあり,平成28年中の交通事故死者数は3,904人で,昭和24年以来67年ぶりに3千人台となった.本稿では,近年の交通死亡事故の特徴とともに,特に高齢運転者による交通死亡事故や飲酒死亡事故の特徴について示した.

今後の車両の安全対策のあり方について

国土交通省では,交通事故の傾向,社会状況の変化,技術の進展等を踏まえ,「交通事故のない社会を目指した今後の車両安全対策のあり方」(平成28年6月交通政策審議会陸上交通分科会自動車交通部会報告書)を取りまとめた.本稿では,同報告書の内容を中心に,車両の安全対策に関する政府の取組みと今後の方向性を述べる.

衝突安全に関する基準と自動車アセスメント

国内外の衝突安全に関する基準と自動車アセスメントについて,これまでの経緯,基準とアセスメントの相違,及び,現状と今後の動向等を解説する.

最近の交通事故の実態と特徴分析

交通事故低減のためには,事故の詳細な分析とそれに基づく対策が非常に重要となる.本稿では,2015年に発生した車両相互と単独,人対車両事故のうち,主な事故形態の実態と特徴,そしてそれらが発生する人的要因等について,事故の性質が異なる年齢層別に着目して解説する.

大型バスの衝突安全技術と最近の動向

大型バスの事故は発生頻度は少ないが,起きた際の被害の大きさ,死傷者の数など,社会的なインパクトは大きい.約20年前に発生したバス事故対策から最近起きた事故への対応まで,バスに関する衝突安全対策を概観すると同時に将来の方向性を展望する.

次世代の前突・側突ダミーの開発動向

THORとWorldSIDは共に国際的な協力体制の基で研究開発された次世代型の先進ダミーである.WorldSIDは側面衝突試験用として2015年のEuroNCAPから既に使用され,今後日本の基準やアセスメントにも順次採用される予定.THORは前面衝突試験用として2020年以降のEuroNCAPとUSNCAPに使用すべく審議中である.本報ではこれら2種のダミーについて開発経緯や特徴を紹介する.

歩行者ダミーの開発動向について

車両の歩行者保護性能の評価手法として,歩行者の特定部位のみを模擬したサブシステムインパクタを用いた試験法が広く採用されているが,歩行者の受傷メカニズムを再現するためには,全身を模擬した歩行者ダミーが必要となる.本稿では,全身歩行者ダミーの開発経緯や技術規格の策定,今後の展望について概説する.

事故自動通報システムのためのわが国と世界の交通事故傷害予測アルゴリズム

日本では,2015年にD-Call Netの名称で先進事故自動通報システムAACN (Advanced Automatic Collision Notification)の試験運用が開始された.AACNはEDR(Event Data Recorder)に記録された事故情報の自動通報により,事故発生をより早く認知させ,傷害予測アルゴリズムによる傷害程度の予測を活用することで早期治療を図る.本稿では,事故自動通報のための傷害予測アルゴリズムの開発背景や世界の研究状況を紹介する.

コンピュータシミュレーション解析手法を用いた自転車乗員頭部の自動車ならびに路面に対する衝突状況解析

国内の交通事故による死傷者数を削減するには,自転車乗員の保護対策の検討も重要な課題の一つと考える.本研究では同保護対策の検討において重要となる自転車乗員の頭部の自動車ならびに路面に対する衝突状況をコンピュータシミュレーション解析手法を用いて明確にすることで,同保護対策の検討の基盤を構築した.

衝突安全車体設計のための材料・構造最適化技術

衝突安全性の向上と軽量化のため自動車車体への高強度鋼の適用が拡大している.多様な材料を使いこなすためには,部材や構造の衝突性能の数値解析技術と実験技術が重要となる.ここではエネルギ吸収性能や破断の予測に関しての開発技術を紹介することで,材料・構造最適化のための総合的取り組みについて概説を行う.

エアバッグ展開シミュレーションのガス流れの挙動に関する研究

エアバッグ展開挙動の重要な要素のひとつはインフレータから噴き出るガスの流れ挙動である.本研究ではガスの流れ挙動を把握するため,シュリーレン法を使い可視化実験を行った.そのガス流れ挙動を汎用解析ソフトLS-DYNA で再現するためには,ガスが噴き出る方向とガスが拡散する角度が重要であることがわかった.

軽自動車の衝突安全技術開発

軽自動車の安全性に対する要求は高まっており,重要な課題となっている.この課題を解決する為に,乗る人だけでなく,相手車両や歩行者に与えるダメージも軽減する独自の安全技術を新型軽自動車に適用した.これらの安全技術適用により,軽自動車初のJNCAP 新安全性能総合評価ファイブスター賞を受賞した.

スバルグローバルプラットフォームの開発

新しいプラットフォーム“スバルグローバルプラットフォーム”の開発では衝突安全性能と動的質感を向上を目指している.本稿では,プラットフォーム開発の狙いと世界トップレベルの『総合安全性能』および高性能を超えた感性に響く『動的質感』を実現するために採用した技術について紹介する.

歩行者保護における高効率衝撃吸収ボンネットレインフォースメント構造とアクティブボンネットの開発

市場事故での死者数低減の観点から,歩行者死者数の低減(歩行者頭部保護)は重要課題である.一般的に歩行者頭部保護のためには,ボンネットとその下のエンジン部品との隙(ストローク)を多く取ることで頭部傷害基準値(Head Injury Criterion; HIC)の低減を図るが,その結果としてボンネット面の上昇を招き,スタイリングへの影響が大きい.特にライトウェイトスポーツを標榜する新型ロードスターにおいては旧来からの軽量でスポーツカーらしいスタイリング(低重心ボンネット)を継承したうえで,最高レベルの歩行者頭部保護性能を達成するという相反性能の両立が課題である.その課題を解決した2つの技術,高効率衝撃吸収ボンネットレインフォースメント構造とアクティブボンネット技術について,紹介する.

EVの衝突安全技術について

EVは電気安全の確保や高電圧バッテリーの質量増による客室変形量増といった電気を動力源とする車固有の安全課題に対する対応が必要となる.日産はEV専用プラットフォームを開発することにより,高電圧保護および乗員保護性能を確保しつつ十分な航続距離と室内スペースを実現した量販EVを開発した.

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