「マルチマテリアルによる軽量化」
-Multi-material Technology for Lightweight Vehicles-

軽量化を通してエネルギーを節約しCO2排出量を削減することは、自動車の永遠の課題です。材料を「適材適所」で使い分ければ,大幅な軽量化は可能となります。本特集では、材料・接合・接着・設計の観点から軽量化に関する技術を紹介します。

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輸送機器用構造材料軽量化技術の展望

「革新的新構造材料等研究開発」は、自動車を中心とした輸送機器の抜本的な軽量化に向けて、革新的接合技術の開発や鋼材、アルミ材、チタン材、マグネシウム材、炭素繊維(CF)や炭素繊維強化プラスチック(CFRP)などの輸送機器の主要な構造材料の高強度化等にかかわる技術開発を一体的に推進している。

自動車用素材のマルチマテリアル化

CO2排出規制を踏まえた燃費改善に向けて、自動車メーカーはサプライヤーと共に車両の軽量化に向けた取組を推進している。また、今後は車両の住空間化に伴う快適性を追求した内装材へのニーズも高まる見通し。本稿では、自動車用素材の軽量化ニーズ高まりの背景やマルチマテリアル化の動向、異種材料接合における課題に加えて、業界各社が取り得る戦略オプションを紹介する。

マルチマテリアル化による自動車の軽量化への貢献を目指して

本稿では、高強度鋼板およびアルミニウム合金を活用したマルチマテリアル化によって、ベースとした車体から12~33%の軽量化効果が得られる試算を紹介する。また、マルチマテリアル車体を実現するために必要な異種材料接合法について解説し、独自開発の異種金属接合法についても紹介する。

二輪車構造部品へのマグネシウムの適用

二輪車は高い機動性が特徴であり、エンジン及び車体部品にはアルミニウムが使われていたが、さらなる軽量化を目指してマグネシウムの採用が始まっている。主にエンジンカバーに使われているが、2008年にCFマグネシウムダイカスト技術を開発し、大型の車体構造部品にも展開している。

チタン薄板の革新的低コスト化技術開発とチタンによる自動車部品軽量化の取組み

自動車部品へのチタン適用の取り組み事例を簡単に紹介し、コスト低減をさらに進めるべく取り組み中のチタン薄板新製造プロセス開発を紹介した。基本概念の確認段階だが、高品質スポンジチタンを直接圧延する溶解省略工程にて、溶解材と同等の引張特性の薄板が試作できた。また、はがき大のチタン箔が電析法で得られた。 

PC樹脂製フロントウインドウの開発

テイジンはPC樹脂に高い耐候性とガラス並みの耐摩耗性を付与する技術を開発し、大型樹脂窓や複雑な曲面の窓への対応も可能にした。こうして生み出された樹脂窓は、国内の新たな保安基準のみならず、欧米で求められる耐摩耗性をも満たし、樹脂窓として世界で初めて市販車のフロントウィンドウに採用された。

商用車におけるアルミニウム合金の応用

アルミニウム合金の応用による車両軽量化の技術開発は、乗用車のみならず商用車においてもきわめて重要である。商用車でのアルミニウム合金製部品の量産化事例、開発事例、及び基礎評価試験結果等を紹介する。また今後採用を拡大する為の技術的課題を述べる。

異種材料接合の現状と金属/樹脂・CFRP直接接合の展開

車体構造材料のマルチマテリアル化に必要な異種材料接合技術について、その技術全般の現状と、特に金属と樹脂・炭素繊維強化樹脂CFRPとの接合について、Al合金や鉄鋼材料を対象にして、熱圧着法の一種である摩擦重ね接合法を用いた直接異材接合継手の界面構造、接合機構及び継手強度、並びに今後の課題について述べた。

アルミと炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の点接合技術開発

アルミニウムとCFRPの摩擦撹拌点接合では、CFRPのマトリックス樹脂中に存在する官能基とアルミニウム表面の酸素リッチ層とが化学的に結合し接合されると推測された。また、接合条件を適正に設定することにより接合強度はアルミニウム抵抗スポット溶接のJIS A 級引張せん断荷重を上回る値を示した。

異種金属接合法「エレメントアークスポット溶接法」

アルミと鋼との異種金属接合は機械的接合法が主流であるが、生産上の制約などの課題もある。そこで、新しい異種金属接合法として、エレメントアークスポット溶接を提案した。本解説ではその接合メカニズム、特徴および自動化システムを述べる。

異種金属(鉄鋼/アルミニウム合金)スポット溶接における接合メカニズムの解明と強度評価

本研究では、鉄鋼/アルミニウム・スポット溶接の接合メカニズムについてSEM-EDXによる接合面の観察と解析から、鉄鋼同士、アルミニウム同士の接合形態と比較して検討した。鉄鋼/アルミスポット溶接では、溶融したアルミニウムが鉄鋼側に凝着することによって接合強度を確保している。溶接電流値と共に接合面積が増加して、接合強度は向上する。引張試験における破断箇所はアルミ側であり、金属間化合物は接合に関して重要な役割を果たしている。

自動車軽量化のための複合部材接着技術

自動車の軽量化のためにマルチマテリアル化が注目されているが、そのキーとなる技術のひとつは異種材料の複合化技術である。複合化による各材料の性能の補完は、設計上のメリットも大きい。本稿では、ナイロン多層チューブ、金属-ナイロン接着技術を中心に、その実用例、メリット、特長について解説を行った。

自動車軽量化のための異種材料接着技術

異種材料の接着では、面で接合すること、また、接着剤層として多種の物性値を持つ材料を比較的自由に選択できることが特徴である。金属とプラスチックの熱膨張係数の違いから発生するサーマルムーブメントによる内部応力に対して、間に挟まる接着層の熱膨張係数を制御し、両者の中間になるようにすることで残存応力の軽減を図ることができる。また、接着剤層の弾性率を適度に調整することにより、熱膨張差で発生するひずみに対する応力を緩和することも可能となる。本稿では、これらの用途に使用される構造用接着剤あるいは弾性接着剤について用途並びに各々の特長を簡単に紹介するとともに、新たな候補として、弊社で検討している変成シリコーン樹脂を応用した接着系について紹介する。

トポロジー最適化による自動車ボデー構造の高性能化・軽量化

本稿では、新構造材料技術研究組合(ISMA)のプロジェクトとして、複数の異種材料を用いてボディ構造の基本性能の向上を狙いながら抜本的な軽量化を図る方法として、レベルセット法に基づくマルチマテリアルトポロジー最適化の方法の開発を行っている状況と今後の予定を紹介する。

異なる混合条件における複数材料トポロジー最適化

複数材料のトポロジー最適化は、自動車のマルチマテリアル化を背景に需要が高まっている。本稿では、鋼材、アルミ材、空隙の体積を制約し剛性の最大化を行った。特定領域の材料を限定した場合と、重量一定条件で材料の割合を変化させた場合の、トポロジー結果と剛性を紹介する。

座屈後挙動を考慮したセル構造材料による薄板中空フレーム補強設計

広範囲な探索を可能とする一般化補強要素、時系列変形モードをパターン分類するクラスタ分析、出現変形モードを予測するニューラルネットワーク機械学習モデルなどを導入し、CAEと機械学習の組み合わせにより衝突時の座屈後挙動を考慮しながら衝突安全性能を高める最適化手法を開発した。

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