振動騒音をデザインする

自動車の静粛性や快適性は商品力を決める重要な要素であり,車両開発における振動・騒音性能の確保は大きな課題です.本号では,自動車の振動騒音に関する最近のシミュレーション・実験解析技術・評価技術に加え,代表的な振動騒音関係の解析ソフトウェアの技術的特長,応用事例についても紹介します.

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振動騒音におけるモデル化と実験解析技術

振動騒音解析技術は,軽量化と振動騒音低減を両立させ快適な車を実現するために欠かすことができない.その中で実験計測に基づく解析技術には,モード特性同定,実稼働解析,構造変更予測等,多岐に亘るものがある.本稿では,このような実験計測に基づく最近の解析技術を中心に紹介し,本分野の今後の発展を展望する.

自動車の車内騒音解析─振動騒音分野の数値解析技術

流れに起因する自動車の車内騒音の予測手法について,現状の解析手法の問題点を含めて議論を行い,スーパーコンピュータ「京」を用いて,50億要素の大規模乱流解析,1500万自由度の振動解析,3800要素規模の音響解析を行い,車体周り体周りの流れによって生じる車内騒音を4kHz程度まで精度良く解析できることを示した.

振動・騒音CAEにおける実験の役割

今日、CAEは開発効率と製品品質向上のために、多くの製造業にとって必要不可欠となっています。 本稿では、CAE技術コンサルティングサービスを提供する立場から、自動車分野におけるダイナミック解析(振動解析、マルチボディダイナミクス)を中心に、CAE技術構築における実験の役割を紹介する。

エアサスペンション用コンプレッサの車室内騒音予測手法

自動車の静粛性の向上に伴い,振動騒音改善のためのシミュレーション技術の開発が進んでいる.本稿では,エアサスペンション用コンプレッサを対象に,車両への加振力から車室内騒音を予測するシミュレーション手法を開発した.シミュレーションを応用することで,試作なく改善方法の立案が可能となった.

車室内における強電系高周波音の最大音圧推定手法

本稿では,EV/HEVの高周波異音の計測手法について紹介する.EV/HEVでは,モータなど強電ユニットが起振源となる異音が発生しやすい事が知られているが,この異音は純音成分が強く周波数も高いため車室内に強い干渉音場をつくる.強い干渉のため計測位置により値が大きく異なり定量評価が困難である.そこで,求めたい音場の最大音圧値を推定するアルゴリズムと計測システムを開発した.

振動エネルギー伝搬解析を用いた振動低減のための二段階設計

本稿では,広帯域の振動騒音問題を対象とした,固有振動と伝搬の両視点を融合した二段階設計を解説する.第一段階設計(大局設計)は,伝搬視点によるロバスト性の高い“素性のよい設計”を意図し,第二段階設計(詳細設計)は,主として固有振動視点によって音質など付加価値を考慮した“味付け設計”を意図している.

CAEと実験を用いたハイブリッド振動伝達経路解析

エンジンの機構解析で求めた振動伝達力と実験により得られた伝達関数を用いたハイブリッド伝達経路解析手法について報告する.普通型コンバインのオペレータ位置の振動に対し,従来法であるマウント剛性法と本稿で提案するハイブリッド手法を適用し,提案手法の有効性を示した.

液封エンジンマウント振動伝達関数予測技術の構築

走行時のギヤ音,モータ音をはじめとする,エンジン音等の中高周波帯騒音に対し,完成車における液封エンジンマウントの振動伝達関数予測技術を構築した.手法は,完成車にて大変形したゴムの動ばね特性を予測し,液体と構造の連成解析にて振動伝達関数を予測した.その結果,開発初期にて先行検討が可能となった.

4chビームフォーミングによる音源可視化装置の開発

騒音問題を解決するためには、音源を特定することが重要である。ビームフォーミング法は音源可視化技術の1種であるが、多数のマイクロホンを使う必要があるため、装置が大型になりがちであった。このたび我々は、信号処理に最小分散法(Capon法)を用いたことで、4本のマイクロホンによるリアルタイム音源可視化システムを実現した。

車内音の寄与分離技術─独立成分分析を利用した車内音のみによる寄与分離手法の基礎検討─

本研究では,音源信号を用いずに車内信号のみで寄与分離を行う手法について基礎検討を行った.模擬車内音に独立成分分析を適用したところ,パーミュテーション問題により正確な寄与は得られなかった.そこで,各音源の特徴に則った問題解法を適用したところ正確にこれらの寄与を把握することができた.

実験と解析を組み合わせたNVHシミュレーションによる車両音響振動設計

車両NVHに対する重要性が高まる一方,実験的に車両ターゲットを設定するためのプロトタイプは削減が求められ,解析の活用が進められているが,まだ実用的ではないことも多い.NVHシミュレーションにより,実験と解析のハイブリッドモデルを構築し,体感可能とすることで,より効果的なNVH設計プロセスの実現を検討する

車室内集中ドアロック音を事例とした主観評価技術の紹介

”感性価値”が着目される中,求められる音を実現するためには,音の物理量を用いて人が感じる主観量を予測する技術が用いられる.その具体事例として,集中ドアロックの施錠時に発生する音を対象に,主観量と物理量との関係性を確認した検討内容を紹介する.

空力音響解析・設計におけるPowerFLOWの有用性

PowerFLOWを用いた、最近開発が進んでいる音源探査法について紹介されている。2つの車両周りの計算例、及びダクトとブロワ付きのHVAC騒音の例を紹介している。これらの事例に対して手法が開発され、ノイズ生成点や伝播現象の様子が可視化できるようになり、実測や従来のCFD手法と比べて大きな利点があることを示した。

自動運転化・静音化が進む自動車開発における必須アイテム“FMBEM”の活用例

高速多重極境界要素法(FMBEM)を用いると,従来の境界要素と比して大幅に少ないメモリ量と時間で解析を実施できる。例えば25万要素規模の境界要素モデルは8GBを使用して数分で解析できる.本資料ではFMBEMを使用して,過渡的な音場を可視化する例,気流音の予測例,音響伝達関数の利用例,システムシミュレーションとの連携例を示す.

振動音響解析ソフトウェアACTRANについて

ACTRANは、有限要素法をベースとする汎用音響解析ソフトウェアである。構造振動-流体-音響間の連成解析に対応し、周波数及び時間領域の解析が可能である。豊富な要素ライブラリを持ち、特殊境界条件や広範囲な音源を扱えるため、構造振動音にも流体音にも対応する。自動車の各種コンポーネントや車両全体の音響解析・最適化に使える。

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