走り出した自動運転

自動運転システムは様々な技術の集合体であり、日々進化しています。本号では、実証実験および限定的な実用化が進んでいる自動運転を特集しました。一般道を含むすべての道路での自動運転にはまだ時間を要しますが、公共交通機関が不足している地域等、特定のエリアに特化した自動運転は確実に走り出しています。本特集号を、自動運転の今を具体的に理解することに役立てて頂けましたら幸いです。是非ご一読ください。

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自動運転の今と今後の展望:自動走行ビジネス検討会の流れをもとに

自動運転への取組みが約10年前から活発化し、法制度も整備されてきており、今後は社会への実装のフェーズにある。国では2025年までに40か所での無人移動サービスの実現を目標に掲げており、RoAD to the L4というプロジェクトもスタートしている。本稿では、自動運転ビジネス検討会での取組みを中心に紹介し、今後に向けての課題等を示し、展望する。

自動運転社会を見据えた都市づくりの取組

都は、目指すべき東京の将来像の実現に向けて、自動運転技術の開発や普及の動向を見据え、道路空間等の整備の在り方や地域特性に応じた交通サービスに関する基本的な考え方と今後の取組方針を示した「自動運転社会を見据えた都市づくりの在り方」(以下「在り方」という)を策定した。本稿においては、「在り方」を紹介する。

Osaka Metroにおける自動運転社会実装に向けた取り組み

Osaka Metroでは自動運転レベル4の社会実装を目指した取り組みを実施している。なぜ当社が自動運転の取り組みを行っているのか、当社が考えている2025年大阪・関西万博までに解決すべき課題は何か、2022年3月~4月、12月~2023年1月に実施した2回の実証実験の内容とあわせて説明する。

慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの自動運転シャトルバス

本稿では、2022年5月から定常運行を開始した慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスの自動運転シャトルバスについて紹介する。まず、運行の概要や自動運転のための機器構成を説明する。次に、自動運転の制御や自己位置推定の方法等を説明する。最後に、現在までの自動運転の運行で得られた知見や今後の課題について述べる。

自動運転サービス実装に向けた実証実験活動

自動運転技術は進化し続けており、自動運転に関するニュースを見る機会が増えている。また23年4月には公道走行についての法令も改定され、自動運転レベル4が可能となったことで自動運転サービスの社会実装も期待されている。本稿では自動運転サービスに向けた技術と自動運転サービスの実証実験の取り組みを紹介する。

成田国際空港におけるローカル5G/キャリア通信の冗長化構成を活用した遠隔監視型自動運転実証実験

2021年度~2022年度に株式会社ティアフォー、東日本電信電話株式会社、KDDI株式会社、成田国際空港株式会社が実施した成田国際空港におけるローカル5Gとキャリア通信の冗長化構成を活用した遠隔監視型の自動運転実証実験について、その目的及び結果の概要を解説する。

自動運転の社会実装プロジェクト─群馬県前橋市での事例紹介

本稿では、群馬大学の取り組みの代表的な例である前橋市での実験に焦点を絞って、その背景や目的、取り組みの変遷といった、自動運転の社会実装モデルの構築に向けた模索について紹介する。

ダム現場で働く自動運転の建設機械

建設業では熟練作業員の減少、他業種に比べて低い生産性や労働災害の多さが課題である。解決策として鹿島建設では建設機械の自動化技術を核とした次世代建設生産システムを開発し、少ない監視者で複数の建機を管理することを可能にした。本稿では自動化施工システムの機能の概説とダムでの実用化状況について紹介する。

小型農業機械に広がる自動運転技術の開発と課題

草刈作業の効率化の為、自動走行の草刈り機の開発を進めている。大学と連携し、ロボティクス分野で使用されるROS、ROS2を活用し、ネットワークRTK-GNSS、QZSSを使用し位置推定および3DLiDARによる障害物回避の方法に取り組んだ。また、従来のワイヤー埋設式とは異なる方法を模索し、果樹園などの実圃場での使用における課題を確認した。

無人自動運転移動サービスの遠隔監視のヒューマンファクタ課題と実証実験における技術検証の心構え

自動運転移動サービスの遠隔監視に関するヒューマンファクター課題を整理した。遠隔監視の形態として、1対1(遠隔監視者1名が1台の自動運転車を監視)、1対2(遠隔監視者1名が2台の自動運転車を監視)、1対N(N>2)に分けて検討し、遠隔監視者の状況理解やHMIについて概説した。また、課題に対する実証実験の狙いどころを解説した。

<Hot Topics>1MHz超高周波光学マイクロフォンと低密度ガスジェットによる実機超音速エンジン騒音推算

「1MHz超高周波光学マイクロフォン」と「低密度ガスジェット法」を用いることで、実機超音速ジェットエンジン騒音推算を行った。ミニチュアノズルと常温ジェットで実機騒音を推算できれば大変なコスト削減となる。シュリーレン法による超高周波光学マイクロフォンを開発し、実機エジェクタノズルの騒音低減性能を推算した。

<Hot Topics>UWB(ウルトラワイドバンド)テクノロジーの概要

UWBテクノロジーは、デバイス間通信用の低パワー・ワイドバンド・テクノロジーです。モバイルデバイス間の正確でセキュアなピアツーピア距離測定を可能にする最適なRF位置決めテクノロジーであり、きわめて小さい消費エネルギーで高い耐干渉性を発揮し、他の無線通信システムとの共存も容易です。

<Hot Topics>サッカーボールと流れ

カタールワールドカップ2022公式球のAl Rihlaの臨界レイノルズ数は、約2.2×100000 (~14m/s)であり、 南アフリカワールドカップ2010のJabulaniのそれは約4.2×100000 (~27 m/s)であった。Al Rihlaの臨界レイノルズ数は、Jabulaniのそれより小さな値を示した。

<Hot Topics>自動運転車支援のための協調型ITS合流支援システム

自動運転車に高速道路本線の合流車線手前で本線を走行する他車両をセンシングして、車両挙動(車両速度、車間距離、車長)を路側インフラ経由情報提供し、「高速道路でのスムーズな合流」をサポートするシステムの提案。

<Hot Topics>グローバルの視点から見た製造業DX/SXの方向性と富士通が描く未来工場

本稿は、これまでの製造業DX(Digital Transformation)の流れを整理し、これからの方向性を見たうえで、グローバル製造業DXのロールモデルをリサーチし、インサイトを提供する。さらに富士通が描く未来工場を解説し、製造業DX/SX(Sustainability Transformation)への提言を述べる。

<Hot Topics>SDGs課題に対する人間工学の役割─持続可能な人間工学目標2040の紹介

2015年に国連が掲げたSDGsは世界中で推進されている。多くの目標は人間工学と密接に関係しており、日本人間工学会はSDGs検討委員会を設置した。2040年までに達成すべき9つの目標、41の課題、105のアクション項目からなる提言書を作成した。本提言書がモビリティ社会を導く羅針盤となることを期待する。

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