「ゼロ・エミッション・カーとそれを支える技術」-Zero Emission Vehicle and its Key Technologies-

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世界的な電動化の動きと我が国の対応について

2016年のEVとPHVの世界累計販売台数は、合計で約200万台に達した。すべての自動車の中ではまだ0.2%という低いシェアだが、各国政府や自動車メーカーの動きが活発化していることからも一定程度EVが普及していく蓋然性は高い。我が国はHVやPHVからFCVに至るまで、幅広く次世代パワートレインの技術に強みを有している。EVも開発を着実に行うことで、全方位戦略をとることが可能。我が国がEV開発の求心力を発揮することで、これらの新規参入者の活力を取り込み、新たな成長に繋げていくことが期待される。

ZEVが求められる世界に

1990年のZEV法規を起点に、自動車の電動化が進められてきた。2018年から強化されるZEV法規、2019年から適用される中国NEV法規、2021年から強化される欧州CO2規制は自動車業界に大きなパラダイムシフトを起こす。電動車開発、電池や部材開発動向、認証制度についての現状と今後の展望を追った。

全固体電池の開発状況

高いイオン伝導性の開発が進み、全固体電池特有の課題である界面構築に関する技術開発が進んできている。実際にリチウムイオン電池と遜色のないエネルギー密度や、リチウムイオン電池を超える高出力電池も報告もなされてきている。本稿では、全固体電池の開発状況を概説する。

全固体型セラミックス電池の開発

ガーネット型リチウム固体電解質単結晶を利用した全固体リチウム二次電池の開発

我々の研究センターは、ガーネット型リチウム固体電解質の開発と成膜プロセスとしてAD法によるコーティング技術の開発に取り組んできた。本稿では、全固体リチウム二次電池の問題の解決のためにリチウム固体電解質の単結晶化技術とエアロゾルデポジション法による電極形成技術について述べる。

重希土類を用いないモータ用高耐熱高磁力磁石の開発

ハイブリッド/電気自動車の駆動モータなど、高温で使用されるモータに適した重希土類フリー磁石を開発した。独自の熱処理技術により高鉄濃度のサマリウムコバルト磁石の微細構造を制御して磁気特性を向上、140 ℃以上にて、一般的に使用されている重希土類を含む耐熱型ネオジム磁石を上回る(BH)maxを実現した。

平角線を用いた駆動・発電用モータの標準化の取組み

平角線を用いた駆動・発電用モータの開発について標準化の各バリエーションのコンセプトを紹介する。コイルのサイズを変更した場合でもワイヤフォーミング方式の型を変更することで、各バリエーションに対応できる。ステータ内径を固定としステータ外径と積厚を可変とすることでさまざまな特性のモータに対応可能となる。

フルSiC半導体IPMを用いたVCUの紹介

高出力駆動モーターおよび高電力密度FC stackを持つ新燃料電池車に搭載する新しい昇圧コンバータが開発された。この昇圧コンバータは磁気結合インダクタと高周波スイッチング駆動する主回路で構成することによってモータールームに搭載することを可能とした。本文はこの昇圧コンバータの小型技術と新型燃料電池車の構成を紹介する。

バッテリマネジメントシステムのワイヤレス化─ワイヤレス化することによるメリットと,ワイヤレス化して見えてきた新たなる課題─

電動自動車のバッテリーマネジメントシステムにおいて、これまで有線により接続されていたバッテリーパック間の接続をワイヤレス化することで、保守を必要とする部品点数の削減、バッテリーモジュールの小型化、製造・保守工数の削減が期待できる。また、ワイヤレス化を実現する際の課題とそれらの解決方法について述べる。

蓄電池オンライン診断技術

リチウムイオン蓄電池の容量及び内部抵抗を運用中に推定し、また電池残量(SoC)を誤差1%未満で推定する手法を開発した。本手法は電流積算法とOCV推定法の誤差が周波数上で相補的に分布することを利用し、相補フィルタを用いて正確なSoC推定を行う。電池の容量と内部抵抗は適応フィルタにより、推定されたSoCから求められる。本手法により、様々な蓄電池システムのオンライン劣化診断や状態基準保全が可能になる。

DC急速充電器規格と技術動向

2014年、DC充電の国際標準IEC61851-23/24が発行された。その後CHAdeMOは市場ニーズに応え、規格改訂に先行して双方向給電(V2X)などの機能拡張を行ってきた。今後、V2Xは再生可能エネルギーの増加が電力系統に及ぼす問題の解決に結びつくとの期待が大きくなっている。

ワイヤレス電力伝送に関する国内外での制度化・周波数協調の動向

電気自動車(EV)用WPTシステムの実用化のためには制度化が必要になる。日本では、2016年3月に世界最初のEV用WPTシステムの制度化が行われた。また、国際電気通信連合の無線通信部門(ITU-R)で利用周波数の国際協調などに関する議論が活発に行われている。本稿では、EV用WPTシステムの国内外の制度化の最新状況について説明する。

水素充塡プロトコル

商用水素ステーションでは様々な燃料電池自動車(FCV)が水素充填するため、安全性の観点から、各々のFCVのタンク容量を考慮した充填プロトコルが必要である。また、FCVは国際商品であり、世界のどこの水素ステーションにいっても、安全性が確認された充填プロトコルで充填されることが必要であり、この充填プロトコルは世界統一基準であることが求められる。本稿ではこの水素充填プロトコルについて説明する。

水素ステーションの普及に向けて

燃料電池自動車が市販されたのに伴い、水素を供給する水素ステーションも、FCVに先行する形で整備が進められている。商用水素ステーションを普及させていくためには、ユーザー利便性の向上も求められる。また安全性と信頼性を担保しつつ、水素ステーションの建設・運営コストを低減することが重要な課題になっている。