技術会議紹介
大気環境技術・評価部門委員会


1. 活動目的
自動車の低排出ガス化にもかかわらず、PM2.5(粒径2.5μm以下の粒子)やオゾンは大気環境基準が未達成である状況が続いている。PM2.5中の二次生成粒子(ガス成分が光化学反応で粒子化したもの)やオゾンは、光化学反応等が複雑に絡んでおり、原因となる物質(前駆物質)の低減がリニアーな改善効果をもたらさない点で、従来のディーゼルPMを低減により大気中のSPMを低減できた例とは異なる様相を呈している。大気環境改善には、自動車排出物の個別成分解明、大気中の反応メカニズム解明、および健康影響評価が重要であると考えられる。したがって、本委員会では計測技術を含む排出実態把握や低減手法の検討から、大気観測、健康影響など大気汚染物質に関する研究を幅広く対象とする。自動車技術者と研究者、大気観測研究者、健康影響研究者、及び関連する行政官を構成員とし、最新の研究動向、規制動向に関する情報交換を行うことにより、委員、会員の情報の共有化を進める。
2. 委員会メンバー
委員長山田裕之(自動車技術総合機構交通安全環境研究所)
幹事岡山紳一郎(日産自動車)、田中光太郎(茨城大学)
委員大学・官庁等8名、企業・民間団体等18名、オブザーバ等7名 合計31名
3. 2017年度の活動計画
・大気環境の課題であるPM2.5(特にガス成分が光化学反応で生成される二次粒子)やオゾンについてのメカニズム解明、削減に向けた取り組みについて引き続き木論を行うとともに、様々な分野の専門家からの常用収集を行い、より深い理解、情報の共有を図る。
・自動車排出ガスのリアルワールドにおける排出実態について議論を行い、その特性についての知見を得るとともに、最適な評価手法について議論する。 
・欧州で規制化された粒子数規制およびその高度化に関する議論についての情報収集を行うとともに、本手法の妥当性を議論する。
・テールパイプからのエミッション低減の結果としてその排出割合が増加し、注目され始めている非テールパイプエミッション(主にブレーキ起源粒子)についての国際的な議論の動向について情報収集するとともに、知識の共有化を図る。
・その他自動車の大気環境へのリスク要因について議論を行い、環境と調和した自動車のあるべき姿を示す。
4. 活動報告
2017年度 2016年度 2015年度 2014年度 2013年度 2012年度
【全体評価】
 2012年度はPM2.5の二次生成粒子の前駆体となるガス成分に範囲を拡げ、大気実態や排出ガス実態に関する情報交換と、自動車寄与の大きさを定量化する測定法に関する情報交換を進めた。
この目標は、7回の委員会、春季大会のOSの実施で一定の成果が達成できたと考える。  
また、第4回目の育成講座を通して、若手技術者への啓発、教育も十分に行えた。 一方、春季大会OSや育成講座の参加者数に関しては、横ばい傾向にあり、今後の活動に関して、更に熟慮する必要があると考える。
種別日時内容
講習会 11/16 自動車排出微粒子の評価手法の基礎と実践
オーガナイズドセッション 5/23~5/25 排気成分(粒子、ガス)の実態把握Ⅰ-大気環境への影響解明の為に-
排気成分(粒子、ガス)の実態把握Ⅱ-大気環境への影響解明の為に-