「安全のための人と機械の役割」
- Sharing of Human and Machines for Safety-

交通移動体の重要な役割の一つは安全で安心な移動を確保することです。そのためには、人ができることとできなことを明確にした上で、人と機械との役割や協調について考えることが重要です。本号では自動車の分野に加えて航空,鉄道,船舶の分野にも着目し、安全な移動手段をデザインするために必要な人や機械に関するそれぞれの役割や、技術的な取り組み、協調の考え方について幅広く紹介します。

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自動運転における人と機械の役割と協調に関する検討課題

自動運転システムの開発が急速に進められているが、競争を意識するあまり、慎重に検討したうえで解決法を用意しておかなければならないことへの対応が不十分なのではないかと危惧されることもないわけではない。本稿では、自動運転における人と機械の役割と協調のあり方と解決すべき課題を考察する。

自動運転を科学技術社会論的に考える

萌芽的技術が社会に普及定着するかどうかは、技術の特性だけで決まるのではない。技術の社会的形成過程や生態系的な複雑な反応によって、技術的な優劣とは異なる社会的力学が大きく作用する。これらを予見するには技術開発側だけの価値観では不十分で、早い段階から社会一般の視点を取り入れる必要がある。

視野障害をもつ者に対する自動運転と高度運転アシストの役割

日本では20人に1人が緑内障であり、視野障害を持つ者が自覚なく多数運転している事実は知られていない。これら軽度の視覚障害を持つ運転者に対して高度運転アシストを適応することが必要である。また、車両標識などソフト面も同時に整備していくことによって最初は特殊例からやがて一般へと自家用自動運転を普及させる。

人と共生する知能化自動車の設計

本稿では、知能化自動車と人間(ドライバ、周辺他者)との相互理解を促進する共生系の設計について論じる。特に具体的な共生要件として、「人を育てる」および「他者に配慮する」の二要件を念頭に置き、制御工学的視点からそれらの実現を目指した研究例とその成果を紹介する。

Shared Controlにおける人間と機械の協調とその活用

人間と自動化システムそれぞれが知覚から操作までを一貫して行うことで、互いに協力して制御を行う、Shared controlが近年注目を集めている。本稿では、shared controlの特徴、shared controlにおける人間と機械の協調状態、スキル向上効果について概説すると共に、自動運転におけるshared controlへの応用例をいくつか紹介する。

トラックの隊列走行における安全確保のためのHMIの役割

トラックの隊列走行に対する社会受容性について、ドライビングシミュレータ(DS)を用いて周辺の一般車両および隊列ドライバの観点から評価し、実現可能な隊列走行の仕様について検討した。また、車内外のHMIに関してDS実験からその有効性を評価した。これらの実験結果から隊列走行システムにおけるHMIの役割について述べる。

小型モビリティの安全確保における機械と人の役割と協調

小型低速自動運転シャトルを中心に、その実用化に向けた課題と対応について概観的に述べる。 自動運転は公共交通を取り巻く課題解決に向けた重要な手段となりうるが、完全無人運転の実現を待つのではなく、いま利用可能な技術を活用することが重要である。 このときインフラとの連携、人との協調は欠かせない要素である。

車の自動運転をめぐる法整備の動向と課題

自動運転の実用化に向け、わが国でも道路交通法の改正作業が本格的に開始した。警察庁より道路交通法改正試案が示されたのである。当面、高速道路におけるレベル3を念頭に置くものとされているが、いよいよ立法化の試案が具体的に俎上に上がり、国民に示されるに至ったのであり、2020年の実用化が現実的になってきたということができる。本稿では、自動運転をめぐる法整備の現在状況と今後の課題を示し、広く技術と法律にまたがる議論を喚起し、社会受容性の促進に与したい。

航空機における安全リスクと対策
─自動車との比較の試み─

航空機の運航におけるリスクについて、自動車との比較を行った。一般に最も身近な航空機はジェット旅客機であるが、より自動車に近いのは小型飛行機であり、比較対象として適切と考えられる。これらについて、運動、制御、航法、事故分析結果の観点から比較した。航空機の操縦は、自動車よりも時間的な余裕が大きく、必ずしも操縦が難しいとはいえないものの、環境饒の変化に影響されやすく、結果が事故につながりやすいので、多くの因子を考慮した予測と判断のプロセスを常時行う必要がある。近年の自動運転技術や意志決定支援技術は、自動車と航空機の安全性を飛躍的に高める可能性があることもわかった。

人間社会と自律知能が協働する航空交通管理システムを目指して

21世紀は、エンジニアリングの新時代といわれており、人工物同士の相互作用や技術要素が複雑に絡み合った「社会技術システム」を対象に、人間社会のニーズを満たすことが求められる。本稿は、その代表的な対象として「航空交通管理システム」を取り上げ、航空機の自律飛行を巡る研究開発と社会実装の世界動向を紹介する。

鉄道の安全確保における信号システムの役割

列車運転の安全を保障する鉄道信号システムは、人間に代わり安全確保のための必要な列車制御を行うとともに、フェールセーフ設計で実現されている。しかし、異常時には人間による介入が必要となる。本稿では、鉄道信号システムの役割と異常における対応について、地下鉄と新交通の無人運転の異常時の対応を含めて述べる。

鉄道の安全を担う信号システムの技術的特徴と,その変遷からみる将来像

鉄道は大量輸送に適した安全かつ省エネな輸送機関で、自動車交通とともに人々の生活を支えている。その安全を担う信号システムは、閉塞制御の考えに基づき、デジタル技術や無線技術を取り入れながら現在まで進化してきた。本稿では、信号システムの技術的特徴を整理し、その変遷を踏まえて次世代のシステムの形を提示する。

鉄道車両の自動運転システムにおける人と機械の役割

自動運転導入の背景と自動運転化による効果として、運転員の確保難の解消や運転ダイヤの機動性向上、列車増発等の柔軟性等に関する考察と、列車における自動運転システムに関する仕組みと運用や管理面におけるセクション毎の人の役割。自動運転システムにおける不確定要素の存在とこれに対する取り組みについて紹介する。

自律化船の実用化の動きと安全運航

近年、自律化船の実用化を目指した動きが国際的に活発である。船舶の自律化や無人化は、海上輸送の在り方を根本的に変化させる可能性があると期待され、国際機関や各国政府もその規則作りに動き始めている。最近の自律化船の実用化に向けた動向、自律化による船舶の安全性向上、自律化船の安全確保上の課題について紹介する。

遠隔操作型自動運航船における安全確保の仕組み

近年、安全性の向上、船員の労働環境改善、船員減少対策等を目的に、世界中で自動運航船の実現に向けた研究開発が積極的に進められている。本稿では自動運航船の実現に向けた国内外の研究開発状況、ならびに、東京海洋大学において研究開発を進めている自動運航船に対して実施している安全対策について述べる。

自律運航船の実現に向けた法的課題への対応

自律運航船の実用化に向けて、技術開発が進む中、社会実装するためには、技術的な問題だけではなく、法的な課題にも対応しなければならない。現行法の枠組みにおいては、操縦者が乗船しない船舶は想定されていないことから、今後どのような立法や解釈が必要なのか、事故発生時の責任関係はどうなるか等について述べる。

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