環境に貢献する車体技術/Environmentally-Friendly Vehicle Body Technologies

自動車技術も低燃費や軽量化、省エネ技術、環境問題など持続可能な社会の実現のため、様々な技術進歩が日々進んでいます。本号では環境負荷低減や生産プロセスの改善も織り込み、低燃費・低電費につながる車体軽量化技術、空気抵抗低減技術、空調技術を紹介しています。是非ご覧ください。

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<技術の窓>統合知が拓く次世代モビリティ教育
─九州大学オートモーティブサイエンス専攻の挑戦

自動車の電動化動向とアルミニウム合金適用技術

地球環境保護のため、各国でカーボンニュートラルに向けた取り組みを進めている。その一つに自動車電動化が進められているが、電動化に伴い、車体重量の増加が課題となっている。車体軽量化を目的にアルミニウム合金の車体への適用が進められているが、脱炭素化社会に対応するためには課題がある。自動車電動化に伴う軽量化とアルミニウム合金の採用拡大に向けた技術的課題を解説する。

木質材料と自動車

日本は国土の約3分の2が森林で覆われた森林資源大国である。本研究では、CO₂吸収など環境面の利点を持つ国産材を活用し、木質材料の開発と自動車部材への応用を通じて、環境調和や地域創生に資する取り組みを紹介する。

圧着前処理工程,防食工程レスを実現する太物アルミ電線用防食端子の開発

自動車ワイヤハーネスの軽量化要求からアルミニウム電線の適用が拡大しているが、質量効果の大きい太径電線に対しては圧着のみでの接続が困難であることから採用が進んでいなかった。我々は8sqまでの太径電線に対して圧着前処理工程、防食工程レスでの接続技術を確立し、さらなるワイヤハーネスの軽量化を達成した。

リサイクル炭素繊維と植物由来材料を活用した軽量CFRPバックシェルシート開発

CFRPは最も軽量化が期待できる材料であり、その主役である炭素繊維は高性能な反面、製造に手間がかかり発生する二酸化炭素量は少なくない。そこで新品の炭素繊維使用量を減らし、リサイクル炭素繊維を併用して軽量化効果が実現できないか検証。また更なる環境ニーズに向け、植物材料併用について可能性を検討。

バイオエタノールからさまざまな基礎化学品を製造可能とするRevolefin™技術

旭化成は自動車産業のサプライチェーンで幅広い製品群を持ち、様々な材料を供給している。本稿では特に原料転換に資する、旭化成の開発したバイオエタノールから基礎化学品を製造する技術、Revolefin™について解説する。また、原料をナフサからバイオエタノールに転換する意義とともに、課題についても解説する。

リブレット技術による空力性能向上の最前線
─レースカー・航空機・風車への実用化

リブレット技術はサメ皮膚構造を模倣し、摩擦抵抗を低減することで自動車・航空機・風車の空力性能を向上させる。ニコンはCFD解析や精密加工技術を活用し、レースカーや航空機、風車での実証試験を推進。各分野で抗力低減や効率向上を確認し、今後は量産化や耐久性向上、社会実装を目指す。

日中放射冷却素材の市場浸透と今後の展望

本論文では、地球温暖化対策として注目される日中放射冷却素材について、SPACECOOL社の取り組みを事例に、その原理・市場普及状況・実装事例・LCAを通じた環境価値を概観し、今後の展望について述べる。

生物模倣による遮熱表皮の開発

炎天下の自動車内装品の温度は90℃近くまで到達し、乗員の不快感や空調エネルギー消費につながる。砂漠に生息するシルバーアントは極細で△断面をした特殊な体毛により、太陽光を反射し体温上昇を防ぐ。その体毛構造を模倣した織物表皮を開発、従来比で約20℃内装品の温度上昇を抑止した。また、シルク調の特長的な意匠をもつ。

トヨタのギガキャストとは

大型のダイキャスト機を用いて自動車ボデー部品を一体成型するギガキャストが注目されており、弊社も次世代BEV開発において、クルマの未来を変える選択肢の一つとして、ギガキャストを用いたクルマやモノづくり改革を進めている。 弊社が考えるギガキャストの嬉しさと課題、その対応方法について述べる。

乗り遅れるな! いよいよ国内でも3Dプリンタによるデジタル製造が動き出した

持続可能なモノづくりを実現するために脱炭素、サプライチェーン、金型保管などの課題を解決する手段の1つとして注目される、3Dプリンタを活用したデジタル製造。プリントした部品をそのまま使うダイレクト製造のほか、従来工法の過程で活用することで生産性を向上させるインダイレクト製造についていくつかの手法を紹介。

<ホットトピックス>エンジンの快音化のための研究
─燃焼音の音質低下を抑制するには?─

エンジンの快音化のための研究の一環として、直列4気筒エンジンを題材に、燃焼音の音質低下を招くパワープラント固有モードの分析を通して、構造改善の方向性を考察した。その結果、エンジンの弾性変形、特に主軸受キャップの変形およびマウントブラケットとの連成振動を抑制するような構造変更が有効であるとわかった。

<ホットトピックス>地図情報を活用したヘッドランプ配光制御技術におけるカーブ走行時の視認性評価

安全な夜間運転のために、現在位置と地図情報を活用し進行方向の道路形状に合わせてヘッドランプの配光を最適化するカーブ先読み制御機能を実装し、公道での実車評価を通して有効性を確認した。主観評価で高評価を得ており、配光と視線方向の差の測定結果から道路形状や遮蔽の有無が視線方向に与える影響が明らかになった。

<ホットトピックス>「車が走るたび,水素が生まれる」─その未来を支える室温・低電力の水分解技術

室温下で水と金属が直接反応し、酸素を伴わずに水素を生成する新反応を発見した。本稿ではその発見経緯、反応機構、応用可能性を解説するとともに、車両走行中に水素を製造・利用する未来像の実現可能性について展望する。

<ホットトピックス>直流アークプラズマを用いた金属粉末球状化/微粉除去プロセスの開発

従来、金属積層造形では球状粉末が用いられるが製造法が限定され、材種の自由度低下やコスト増大につながる。そこで、我々は積層造形に不適とされる非球状粉末を球状化しAMに利用可能とするプラズマ技術、およびプラズマ加熱で問題となるサブミクロン以下の微粒子付着を抑制する圧力/気流制御方法を開発した。

<ホットトピックス>高速物性スクリーニングによる高効率熱電変換材料の開発

熱電変換は熱を電気エネルギーに直接変換することで注目を集めている。しかし、熱電材料研究には3つの課題があり、変換効率改善が滞っている。我々は(i)設計指針の欠如、(ii)低い開発効率、(iii)性能指数の再現性、という3つの問題を同時に解消する研究を進めており、プロジェクトの取り組みを紹介する。

<ホットトピックス>物理ベース機械学習手法による自動車空力性能の高速な予測

機械学習は、物理現象を予測するための画期的な手法として着目されている。しかしながら、これらの手法を自動車空力性能予測などの実問題へ適用するにはまだ改善の余地がある。本稿では、物理現象を高速、高精度、かつ信頼性高く予測するための物理ベース機械学習手法および自動車空力性能予測への適用事例を紹介する。

<超の世界>鉄原子を集めたナノサイズの分子の合成に初めて成功

<スポットライト>スペーサー構造を導入した次世代燃料電池向け電解質材料の新設計コンセプト

<標準化活動レポート>加州OBD II法規,欧州EURO 7法規改定における各国標準化活動

<匠の技>設備保全の心を伝える匠の技 波谷 和美氏

<学生フォーミュラの日々 そして 今>挑戦の先にあるもの

<みんなのモーターサイクル工学講座>ガソリンエンジンの基礎理論

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