カーボンニュートラル/Carbon Neutrality

2020年10月に政府が「2050年のカーボンニュートラル達成を目指す」と宣言し、再生可能エネルギーへの転換を加速する政策が進められています。カーボンニュートラルは、自動車パワートレイン電動化のみで達成できるものではなく、内燃機関のさらなる進化、燃料ライフサイクルの観点、さらにはインフラとの協調・協働による新たな仕組み作りまで、広範な議論が必要となります。本特集では、カーボンニュートラル実現に向けた様々な取り組みについて、各分野の専門家による解説記事を掲載いたしました。
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<技術の窓>「運ぶ」を創造するいすゞ中央研究所の取組み

<カーボンニュートラル>2050年のカーボンニュートラル達成に向けて自動車パワートレインはどう変わるか

2050 年のカーボンニュートラル達成に向けて、再生可能エネルギーへの転換を加速する政策が進められている。国内の二酸化炭素全排出量に占める運輸部門の割合はおよそ2 割であり、かつ電動化が進む業界でもあるため注目は大きい。一方で、カーボンニュートラルは、自動車パワートレイン電動化のみで達成できるものではなく、広範な議論が必要となる。これから自動車パワートレインはどう変わるのか、再生可能エネルギー、内燃機関、電動パワトレ、燃料LCA、都市工学といった幅広い観点からお話し頂いた。

<カーボンニュートラル>カーボンニュートラル実現に向けた日本のパワートレイン開発戦略

今後我が国が目指すパワートレイン戦略については経済原則を考慮した適切な目標を段階的に実施してくことと俊敏な軌道修正が重要である。本稿ではシリーズハイブリッド自動車から始まりエンジン熱効率向上からPHEV化、e-fuel製造プロセスを例に乗用車の戦略について述べた。

<カーボンニュートラル>日本の自動車部門における次世代車普及を考慮した長期CO₂排出量推計

本報では筆者がこれまで開発してきた統合対策が評価可能なCO₂排出量に、次世代燃料の燃料製造時のCO₂排出量データを追加かつ既往文献等を参考に車両製造、メンテンナンス、廃棄時のCO₂排出量データを整備し、Tank to WheelでCO₂排出量削減を実施した場合のWell to Wheelおよびライフサイクルでの削減効果について検討した。

<カーボンニュートラル>クリーンエネルギーの炭素集約度

カーボンニュートラル実現にはクリーンなエネルギーの活用による脱炭素化の推進が必須であり、エネルギーの「クリーンさ」を表す指標に炭素集約度が用いられている。本稿では、自動車分野のカーボンニュートラル実現のために利用が期待される各種クリーンエネルギーの炭素集約度の最新の動向を、LCAの視点から概観する。

<カーボンニュートラル>新型ロータリーエンジン8C型の開発

マツダは約11年ぶりとなる新型ロータリーエンジン8C型を量産した。理想的な燃焼を追求するために前モデル13B型から圧縮比を高め、燃料供給を直噴化及びCooled EGRシステムを採用、更に燃焼室形状の変更と、発電用ユニットとして排気量を最適化する事で、熱効率の大幅な改善と全域λ=1運転を実現した。

<カーボンニュートラル>噴流による水素エンジンの混合気均質性向上に関する研究

水素エンジンはカーボンニュートラルな動力源の1つとして着目されている。高出力化の観点で吸気バルブ閉弁後の筒内直接噴射が有効だが、水素と空気の混合時間が短く不均質燃焼によってNOxの発生が課題となる。本報は、混合気形成メカニズムを分析し、高出力と低NOxを両立する均質混合気を実現する噴流コンセプトを提案する。

<カーボンニュートラル>トランスポーテーション分野における次世代カーボンフリー燃料とパワートレインの最適化研究

エネルギ、都市部での文明社会、社会活動のための人とモノの移動の3つのレイヤーに着目し、本解説では、「電動車両の充電系マイクログリッド連携研究」のフォーカスポイントと、「次世代カーボンフリー燃料とパワートレインの最適化研究」の一部を紹介する。

<カーボンニュートラル>車載用(オンボード)CO₂回収装置の国内外における研究開発動向

電動車の増加に伴うレアメタルの需給逼迫や、カーボンニュートラル燃料の供給量確保への懸念等から、新しい技術による自動車のCO₂大幅削減も検討する必要がある。その一つに、CO₂回収装置付き自動車が考えられる。本稿では、車載用CO₂回収装置の基本構成と、車載用CO₂回収装置の国内外における研究開発動向について述べる。

<カーボンニュートラル>新型燃料電池車に搭載した燃料電池システムの紹介

燃料電池システムは加湿制御と鉄(Fe)溶出量削減によって耐久性は2倍以上を達成した。素材、構造の見直し、生産性の改良により従来からコストを1/3に低減。急速暖機制御と電解質膜の調湿制御の組み合わせにより、-20℃での始動時間を1/9に削減した。パワートレイン部品を一体化して搭載し、電動車にふさわしいNV性能を達成した。

<カーボンニュートラル>EV普及に向けた走行中ワイヤレス給電システムの最適配置と経済合理性

本研究は、電気自動車(EV)の充電インフラとして注目される走行中ワイヤレス給電(DWPT)システムの最適配置と経済合理性を検討する。高速道路では95%の移動需要カバーが合理的であること、また、市街地では「無限走行」を実現するためのDWPT敷設量が総道路長のわずか1.6%で済み、EVの搭載バッテリー量も少なくできることを示す。

<カーボンニュートラル>これからの低炭素社会実現のための街づくり実証事業の紹介 ─関西文化学術研究都市(けいはんな学研都市)での取組み

本解説では、トランスポーテーションと密接に関わる街づくりに関連して、環境/エネルギー問題を俯瞰して、ホロニック・エネルギー・パスの概念を紹介する。また少し古い事例ではあるが我々がこれまで取り組んできた水素エネルギー関連の研究と、主にけいはんな学研都市エリアで実施した実証事業をイラストベースで紹介して、都市構造とエネルギー社会の関係を論ずる。

<ホットトピックス>NOxセンサを用いた重量車排出ガス計測システムによる尿素SCR触媒の使用過程におけるNOx浄化性能の解析 ─NOx浄化性能に影響を及ぼす要因の考察─

平成28年排出ガス規制適合車で主流の銅系ゼオライトSCR触媒のNOx浄化性能を、積算走行距離が増加する使用過程において、シャシダイナモメータ試験および実路走行試験により継続的に調査を行っている。調査データから、NOx浄化率、空間速度等のSCR触媒のNOx浄化性能に影響を及ぼす要因について考察した。

<ホットトピックス>3次元空間内での能動的音響制御

3次元音場における能動的音響制御の基礎と応用について簡単に説明する。能動的音響制御の概念と適用範囲について、受動的手法と比較しながら説明し、能動的音響制御の適用が困難な場面についても例を挙げて説明する。最後に音響領域分離制御に関する研究の現状について、周波数領域と時間領域の両面から解説する。

<ホットトピックス>携帯電話回線を用いた鉄道踏切制御システムの利用を視野に入れた踏切通過支援システムの提案

携帯電話回線を利用した踏切制御システムの利用を前提に、踏切通過運転支援システムを提案する。踏切警標を認識して停止位置を求め、踏切通過後の空き空間を計測し、必要な通過時間を推定する。大学内での実験および踏切通過時に記録されたドライブレコーダ画像の解析を行い、提案するシステムの実現可能性が示された。

<ホットトピックス>生産ラインのトラブルに柔軟に対応するダイナミックスケジューリングシステム

本研究では、メンテナンス作業者不在時に設備故障を検知し、数分以内に生産再開するシステムを開発する。本システムは、事前に停止要因に応じた代替案を立案し、生産中に故障設備を使わずに生産継続可能な案を選択・実行する。検証の結果、正常時と比較して54%の作業能力で生産継続する案を13.9秒で立案した。

<ホットトピックス>世界最高性能の鉄系超電導磁石の開発

鉄系超電導体は高い上部臨界磁場を持ち、次世代の超強力準永久磁石として期待される材料である。しかし、そのポテンシャルの発揮には、多くのプロセス条件を最適化し、複雑な構造を制御する必要がある。本稿では、研究者とAIの協奏によりこの課題に取り組み、最高性能の鉄系超電導マグネット開発に成功した成果を紹介する。

<ホットトピックス>SDVを支えるデジタルツインとシミュレーションの自動化

ソフトウェアデファインドビークルは、そのソフトウェア開発インフラが重要な要素の一つであり、協業化、標準化、仮想化に向けた様々な取り組みが進んでいる。本稿では、アンシスが提供できるデジタルツインによる仮想技術と、自動運転シミュレーションによるインフラ構築への貢献について述べる。

<超の世界>100兆分の1秒の一瞬で生きた細胞の姿を捉える軟X線自由電子レーザ顕微鏡

<スポットライト>Blossom Energyが開発する熱エネルギー貯蔵システムの現状と展望

<匠の技>ダイカスト鋳造におけるヤマハの手と人財育成

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