2050年に向かう自動車材料の革新
―軽量化・電動化・循環型社会への挑戦―

100年に一度の大変革期にある自動車産業を俯瞰し、2050年チャレンジ・ビジョンを見据えた材料技術の現在地と将来像を多角的に整理しました。EVシフトやカーボンニュートラルの実現には、個々の材料開発にとどまらず、設計・製造・リサイクルまでを包含した統合的な視点が不可欠です。鉄鋼、アルミニウム、樹脂、電池・熱マネジメント材料、さらにはAI・データサイエンスまで幅広く取り上げた本特集が、産学の技術者・研究者の皆様に新たな連携と挑戦の契機をもたらすことを期待します。是非ご覧ください。

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<技術の窓>学際と越境と
ー自動車とロボットの狭間で

材料部門委員会の最新ロードマップ
ー2050年の未来像

自動車を中心とするモビリティにおいて、材料技術の革新は、今後のモビリティ進化を支える中心的要素となることが期待される。自動車技術会の材料部門委員会によって、2050年を見据えた「チャレンジ」ロードマップを見直した。本稿は、このロードマップについて、委員会所属の各委員による詳細な解説を行ったものである。

カーボンニュートラル社会構築におけるアルミニウムとその合金の役割と可能性

環境負荷が小さいアルミニウム再生地金を展伸材の製造に利用できるようにしてGHG排出量の大幅削減を図り、アルミニウム資源を余すことなく活用できるようにするアップグレードリサイクル等の取り組みについて紹介する。

Additive Manufacturingと材料技術で描くモビリティ産業の新時代

モビリティの領域のみならずモノづくりの領域においてもDX化は急速に進展している。それに伴い、材料開発、構造設計、部品製造の方法も大きく変化している。本稿ではこれらの進展の様子を概観し、これからのモビリティ産業のモノづくりについて述べる。

サステナブルな自動車を目指して
ー再生プラスチックの利用

2050年に向けて、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーの両立は自動車会社の主要課題であり、材料視点で見ると、その要素の一つにプラスチックリサイクルが上げられる。本稿では、日欧リサイクル法規の概要と自動車由来のプラスチックリサイクルの例、今後の課題について述べる。

2035年カーボンニュートラル達成に向けた自社工場の取組み

本稿では、自社のカーボンニュートラル計画やその達成手段を紹介する。自社で定義した最少化とクリーン化の考え方に基づき、アルミ鋳造工場におけるダイカスト設備の高効率化、工程革新による製品の軽量化、再生可能エネルギーの導入、化石フリーのための電気溶解保持炉の導入などの実施事例とその効果を取り上げる。

電気自動車の高性能化に貢献する樹脂材料技術

電気自動車に搭載されている電動パワートレインシステムは、電池の直流電流を電力変換装置であるインバータにより三相の交流に変換し、これをモーターに供給し駆動力とするシステムである。インバータやモーターの小型・高出力・高性能化が、電気自動車の電費改善に有効である。これには、これら製品に用いられている高機能樹脂の、耐熱性能や絶縁性能の向上が重要である。本稿では、電動パワートレインシステムの高性能化に貢献する高性能樹脂を概説する。

微構造画像を入力情報に用いた窒化ケイ素セラミックス特性予測AIモデルの開発

絶縁放熱基板は、電気自動車に活用されるパワー半導体から発生した熱を効率的に逃がすうえで欠かさない。近年の絶縁放熱基板のニーズの高まりを受け、基板の長寿命化が可能となる窒化ケイ素に注目が集まっており、特性向上を目指して企業間で開発が行われている。本研究では、絶縁放熱基板に関わる特性の向上に向けた技術開発を効率的に行うために、微構造画像を力情報に用いた窒化ケイ素セラミックス特性予測AIモデルの開発を行った。

EUの「リサイクル材含有義務」による自動車分野へのインパクト
ープラスチック資源循環を中心に

EUは循環経済政策として、リサイクル材含有義務を、バッテリーの金属と容器包装プラスチックに課したことに続き、自動車プラスチックに対しても提案している。本稿は、それによってEUで生じるプラスチックリサイクル材の需要量を試算するとともに、同等の基準を我が国で実施した場合についても試算し、今後の資源循環のあり方について考察を行った。

微細構造を制御した繊維強化補強材の提案

FRPやプラスチック成形体の比較的弱い部分を補強するため、ガラス繊維の微細構造を制御した補強材を提案した。この補強材はボルト穴等に貼り付けて使う。本報告では補強効果確認実験、特許、今後の展開を述べる。

エージェンティックAI 時代を見据えた“人とAIとの協奏”によるタイヤ開発

文脈共有・スキーマ・アブダクション推論を軸に、エージェンティックAI時代を見据えた”タイヤ開発へのAI活用事例を通じて、文脈共有、スキーマに基づくアブダクション推論、記号接地の意義を論じ、エージェンティックAI時代の人とAIの協奏による開発枠組みを提案した。MCPサーバにリソースと各種ツールを統合し、文脈共有エージェントと多様なスキーマを持つ複数エージェントからなる開発支援の枠組みを示した。

マルチモーダルAIを活用した繊維強化樹脂成形加工のDX

材料化学分野のマルチモーダルAIを繊維強化樹脂成形加工へ応用した事例を紹介する。マルチモーダルAIによる材料混合設計の最適化と、バイオマス由来樹脂を含む成形品の物性予測モデル構築の事例を説明する。本技術は多様な計測データの統合により製造条件設計の効率化と原理解明を可能にし、成形加工のDXを推進する。

<ホットトピックス>簡易試験体を用いた衝突性能評価手法の開発と破断予測技術の検証

試作段階の鋼板で製作した簡易試験体を用いてフロントサイドメンバーの複雑な変形を再現できる圧縮曲げ試験法を開発。曲げ性の低い鋼板を使用した場合、圧潰部で破断が発生し、鋼板の曲げ性が重要であることが確認できた。更に、FEM解析による曲げ破断予測手法を開発し、圧縮曲げ試験で発生した破断を予測可能とした。

<ホットトピックス>飲酒運転のデータ収集と機械学習による検知モデル開発

DSと実車で飲酒前後の運転データを取得し、機械学習による飲酒検知モデルを開発した。特にDSM由来の眼球運動指標が有効で、1次元コンボリューションニューラルネットワークが最高精度を示した。

<ホットトピックス>プラズマが駆動する低温触媒科学
─低炭素プロセスへの展開

プラズマと触媒の複合反応では、電気エネルギーを用いて分子を活性化するため、熱依存型の従来システムから脱却した新たな低温化学反応システムの創出が期待できる。低炭素社会の実現に向けたCO₂有効利用を背景に、非平衡触媒反応の概要とともに、これをCO₂のオートサーマル・メタネーションに応用した事例を紹介する。

<ホットトピックス>業界初100本マガジン搭載小型マシニングセンタの開発と環境性能の紹介

自社開発NC制御により工作機械の性能を最大限に引き出すことで、部品加工の生産性を向上させ、独自の省エネ機能により消費電力を低減します。これらの環境技術が新開発の100本マガジン搭載小型マシニングセンタにも活かされており、近年の日本の製造現場を取り巻く省人化の課題や自動化ニーズへの1つの解決策となります。

<ホットトピックス>高解像度LESによるディーゼル噴霧の壁面熱伝達解析

本研究では、高解像度LESにより壁面衝突ディーゼル火炎の熱伝達メカニズムを解析した。粘性底層まで格子を配置することで壁関数を用いずに壁面熱流束を直接評価した。壁面上には縦渦に起因する筋状の熱流束分布が形成され、そのスケールは格子解像度の影響を受けた。また、壁面近傍の速度・温度分布は壁関数に基づく予測と一致せず、従来モデルの適用限界が示された。

<ホットトピックス>「人工知能」と「サイバーフィジカルシステムの安全性とセキュリティ」の相互作用

自動車における人工知能(AI)の活用、AIがもたらす安全性とセキュリティへのリスク、それらに対処する新たな規制、標準、技術ソリューションを考察する。典型的なサイバーセキュリティの脅威シナリオと攻撃手法の概要、それらを軽減する方法、最後に機能安全とサイバーセキュリティの向上に繋がるAI活用可能性を解説する。

<超の世界>ベクトルパルスマグネットを開発
ー物質の異方的磁気応答を可視化する新ツール

<スポットライト>京都市郊外で見えてきた太陽光発電と電気自動車による都市脱炭素の現実解
ー国内およびアジア都市への展開可能性

<標準化活動レポート>パワーエレクトロニクスシステム部会の標準化活動

<学生フォーミュラの日々 そして 今>学生だからこそできる挑戦!

<学自研>2025 年度北海道支部学自研活動の紹介 学自研活動報告
─ジャパンモビリティショー札幌2026

<学自研>2025 年度東北支部学自研活動の紹介 学自研活動と学生の自動車技術の進歩

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