自動運転を「動かす」技術と人財
本特集号では、自動運転の社会実装を支える情報通信インフラ、車両制御、センシング技術、さらには人財育成まで、多彩な取り組みを取り上げました。本特集が、自動運転のあり方を考える契機となれば幸いです。是非ご覧ください。
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自動車のAI化 次の100年に向けて
自動車は、センサー、通信、AI、蓄電池を備えた情報端末へ変わりつつある。一方、日本の道路通信は、760MHz帯ITS、ETC・ETC2.0、携帯通信、次世代5.9GHz帯V2Xが異なる目的と制度のもとで発展し、認証、データ、制御、課金が十分に接続されていない。本稿では、日本の道路制度史を踏まえ、中国の物流プラットフォーム、欧州の外部費用・インフレ連動型料金、米国の自動走行の普及を比較する。さらに、自動物流道路と気象・災害予測を取り上げ、物理施設とデジタル設備を一体的に維持する財源とガバナンスを考察する。必要なのは通信方式の単純な統一ではなく、複数方式を階層化し、共通の認証、情報、制御、決済、責任によって束ねる次世代道路制度である。
ドライビングシミュレータに活用可能な詳細ダンパーモデルの開発
乗員が安心かつ快適に移動の実現にドライビングシミュレータ(DS)を用いた車両開発が広まっている。DSでの再現性をさらに高めるため、リアルタイム性を確保しつつ減衰力の過渡特性の再現精度も高めたダンパーモデルを開発。OEM-サプライヤ間で流通させてDSで自動運転時代のサスペンションアセンブリ評価手法を提案。
スマートシェルの開発
自動運転は運転主体を人から車両へ移行させる。本稿では、運転から解放された時間を単なる余暇の延長ではなく、モビリティ体験全体を向上させる機会として捉え直す。そのための車内体験設計の枠組みとして「スマートシェル」を提案し、関連技術について紹介する。
SDV時代におけるタイヤセンシング技術の展望
―モビリティデータプラットフォームへの進化―
SDV時代におけるタイヤセンシング技術の役割と将来展望について、住友ゴム工業が開発するSENSING COREを例に解説する。車輪速などの車両信号からタイヤや路面の状態を推定し、車両制御への活用やクラウドとの連携によって、安全で高度なモビリティへの貢献を目指す技術とその可能性を紹介する。
光ファイバセンシング技術を用いた路車協調型自動運転
非コネクト車両を含む混在交通環境における自動運転には、道路インフラとの情報連携が重要である。本稿では、道路に敷設した光ファイバセンシングにより一般車両の位置を検出し、その情報を自動運転車両と連携する路車協調型自動運転システムを開発した。車両位置抽出および自動合流実験を通じて、本システムの有効性を確認した。
自動運転をインフラから支える位置補正技術「T-Localizer®」
自動運転では、周辺環境の特徴量が乏しい場合に自己位置推定が不安定になることが課題である。本稿では、車載LiDARとインフラに設置した反射体を活用して自己位置を補正する「T-Localizer」の概要と、安定した自動走行の実現に向けたトンネル、港湾、空港環境での実証および適用検討について紹介する。
自動運転AIワークショップによる人財育成
本稿では、E2E自動運転AIを手の内化するため、AI基礎、ミニカー実習、モデル解析、実車適用を段階的につなぐワークショップを構築した。公開コードの実車接続・高速化と反復的なデータ改善を通じ、延べ209名が開発サイクルを体験した。自己評価から理解深化の可能性が示唆された。
デジタルツインを活用したモビリティの進化
―ハイブリッド自動運転,地域適応型AI運転モデル,V2Xの高信頼化―
デジタルツインは、自動運転、AI、通信を統合する次世代モビリティ基盤として期待されている。本稿では、ハイブリッド自動運転、地域適応型AI運転モデル、高信頼V2X通信を実現する技術と、大岡山スマートモビリティ実証フィールドにおける実証結果を紹介する。
「自動運転AIチャレンジ」を活用した実践的人材育成の取り組みと成果
―新入社員チームRevs-Labの挑戦と成長過程―
自動運転AIチャレンジに参加した新入社員チームRevs-Labの取り組みを対象に、競技課題を活用した実践的人材育成の方法と成果を紹介する。競技環境における試行錯誤を伴う技術的取り組みを通じて、主体性や意思決定能力の育成に有効であった。
<ホットトピックス>幼児置き去り検知に向けた車内レーダの電波伝搬解析
本稿では、幼児置き去り検知に用いる車内60GHz帯レーダを対象に、電波伝搬解析の適用例を示す。人体散乱データとの比較による基礎検証を行うとともに、車内構造物による透過・反射を考慮した検知可否評価を通じて、車室内における電波到達状況や受信電力分布の把握、レーダ搭載条件の事前検討への有効性を示す。
<ホットトピックス>バーチャル人体モデル THUMSの最新開発動向
本稿では、バーチャル人体モデルTHUMSの開発経緯と最新動向を概説する。特に最新版(Version 7)における標準体型女性モデルおよびリクライニング姿勢モデルの開発方法や生体忠実性の検証結果を示し、多様な体格・姿勢の乗員傷害予測に向けた開発状況を解説する。
<ホットトピックス>CO₂を岩石に変える―新たに発見された鉱物化メカニズムとその工学的意義
本稿ではCO₂鉱物化を支配する新たな反応機構について紹介する。原子スケールの解析により、CO₂が火成岩表面の反応サイトに直接結合し、鉱物の溶解を促進することを明らかにした。この反応機構は、従来のモデルでは説明が困難であった高速なCO₂鉱物化を説明するとともに、水素や重要鉱物の併産など、CO₂鉱物化の新たな工学的展開につながる可能性を示している。
<ホットトピックス>サインポスト誘導システム「SIGNAS」および搬送ロボット「SIGNAS-BM」
本稿では、ラフな環境でも簡単に使える安定した搬送ロボットを目指し開発した、サインポスト誘導システム「SIGNAS」と搬送ロボット「SIGNAS-BM」について述べる。サインポストを用いた誘導方式、走行性能、市場評価、今後の展開を紹介する。
<ホットトピックス>ベンチマークから読み解く自動車熱マネジメント技術の進化とその背景
電動化およびSDV化の進展により、自動車の熱マネジメントは複雑化・高度化している。本稿では最新車両のベンチマークを通じて、熱マネジメント技術の変遷を整理し、電池大型化、冷媒規制、部品統合化および快適性向上を背景とした技術動向について概説する。
<ホットトピックス>クルマの“死角”をスマホで埋められるか?
―V2Nによる新しいADASの可能性―
本研究は、スマートフォンと公共ネットワークを活用したV2N技術により、車載センサーの死角を補完しADASの安全性向上を目指す。位置精度やブレーキ制御への課題を分析し、実現可能性と今後の技術発展の方向性を検討する。
<超の世界>ポータブル装置による世界最強110テスラ磁場発生とX線実験に成功
<スポットライト>車載市場初となる MIPI A‑PHY準拠の電子ミラー発表
<標準化活動レポート>ISO 15118 V2G CI国際標準化活動(第二報)
<匠の技>現象から真因を見抜く:原理原則に基づく分析技術への挑戦 小川 光氏