十人十色をどう切り拓く?
人間特性の個人差研究

ビッグデータを利活用できる仕組みに注目が集まる中、個々人に着目することでその人に適合したモノやサービスの提供が技術的にも可能となってきました。
本号では普段は表立って取り上げられてない“個人差”に焦点をあて、価値観、認知特性、身体特性など、個々人に合わせた研究やユーザインターフェイスなどの事例を紹介します。

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「十人十色 」とクルマ作り

自動車技術で人間工学は不可欠な分野に成長してきた。人間を扱う上で個人差は避けて通れず、個人差を踏まえてドライバの反応を適切に理解することが重要である。本稿では、事例紹介を交えながら、ドライバの個人差への対応の考え方やドライバ特徴の記述方法とその活用について概説する。

脳研究で知覚と認知の個人差を探求する

本稿では、知覚、注意、ワーキングメモリの個人差を対象とした心理学およびニューロイメージング研究を紹介する。知覚交替は知覚表象の形成だけではなく、遺伝的な要因とも関係している。注意水準の時間変動は個々の生体リズムに影響を受けている。合目的的な行動は複数の作業を調整する実行系機能によって支えられている。

自動車技術への応用を考える─個人差研究の限界と問題

本稿では、パーソナリティと個人差研究の基本的考え方を説明したのち、パーソナリティと個人差研究を自動車技術に応用する場合に注意してほしいいくつかの問題点について説明した。特に、アーティファクト、一般化、信頼性と妥当性、統計的検定について概説した。

強化学習モデルを用いた個人差の推定

強化学習モデルは、ヒトや動物の情報処理モデルとして広く使われてきた。本稿では、このモデルを使ってこれまでどのような個人差が明らかになったのか、実験はどのような流れで行われるのかを紹介する。さらに、ヒトの個人差を測るツールして強化学習モデルを使う上で留意すべきこと、今後の展開などについて述べる。

パーソナルデータを利用したサービスのデザインに必要な視点

本稿では、パーソナルデータを利用したサービスをデザインするための観点をさぐるため、この種のサービスの典型である在宅ヘルスケア情報サービスの開発の取り組みを紹介する。主に高齢者を対象とした緊急通報サービス、および介護予防サービスにおけるユーザの心理的抵抗に焦点を当てる。

認知機能低下,認知症予防における個人差

加齢に伴う脳萎縮などの脳構造の変化や認知機能低下は一様ではなく、大きな個人差がある。個人差の要因としては、遺伝的要因、身体的要因、心理・社会的要因が複雑に関与していると考えられ、そのメカニズムを明らかにすることは、認知機能低下・認知症を抑制するための手段を開発するうえでも重要である。

個人の運転特性のモデル化と自動運転への適用

自動運転の導入期で手動走行と自動走行とを併用するとき、個人の運転特性を自動走行に反映することでドライバが受け入れやすい自動運転を実現できる。本研究は、先行車との車間距離に関し、環境による変動要因を反映して個人の運転特性をモデル化する手法を考案し、自動運転車両を用いて本手法の有効性を明らかにした。

車載情報機器のインターフェイスにおけるドライバの個人差に向き合うデザイン

車両インターフェイスをそのクルマの様々なユーザに適応させるためにはユニバーサルデザインの考え方が必要である。また、今後自動運転に向かう自動車の進化過程において運転支援システムへの依存性の個人差に影響されにくいデザインが重要である。

高齢者乗員の前面衝突時胸部傷害低減の方向性

近年、日本の交通事故全死者数に占める65歳以上の高齢者の割合は上昇しており、なかでも自動車乗車中の高齢乗員の胸部傷害による死亡、重傷の割合が約半数である。本研究では、体格の異なる高齢者人体FEモデルを用い、中低速前面衝突時の高齢乗員の胸部負荷低減を目的にシートベルトによる乗員拘束特性を検討し、その具現化の方向性を考察した。

肥満と食事・生活習慣の個人差に着目した健康ソリューションサービスの開発

新規測定技術による成人1万人以上の内臓脂肪蓄積評価と食事習慣の疫学研究に基づき、内臓脂肪になりにくい食事法およびそれを取り入れた健康ソリューションプログラムを開発した。内臓脂肪蓄積の実態と食事の栄養バランスの関係、内臓脂肪低減のメカニズム、および食事改善を社会実装する上での課題を述べる。

<HOT Topics>
金属薄板の重ね突合せ摩擦攪拌接合技術

金属薄板の突合せ摩擦攪拌接合を実現するため、重ね突合せ摩擦攪拌接合技術が開発された。重ね突合せ摩擦攪拌接合にて、ツールの押し込みにより接合部中心の厚さが母材の厚さ程度まで減少し、突合せのような継手が形成された。亜鉛めっき鋼板の重ね突合せ継手の最大引張強さは母材強さの約95%であった。

<HOT Topics>
最新式の相溶化剤「iPP-PAA」を用いたCFRPの界面せん断強度の向上

複合材料の製造には、コスト、処理、リサイクルなどの多くの問題があるため、リサイクル性や成形性の高い熱可塑性樹脂を用いたCFRPの研究が進んでいる。本研究では、PPを母材とし、相溶化剤iPP-PAAを添加した場合のCFとの界面密着性と帯電防止性能を評価した。

<HOT Topics>
超高塗着エアレス塗装による塗装工程のCO₂排出量削減

自動車工場CO₂排出ゼロをうたった、トヨタ環境チャレンジ2050の達成に向けて、自動車塗装において塗着効率95%以上を実現する革新的な塗装システムを開発した。塗装工程における塗料ロスを減らし、塗着効率を向上するには返りダストをなくすことが必要である。そのための最も重要なポイントはいかにして塗料をエアなしで微粒化させ塗着させることができるかである。今回、トヨタ自動車はシェーピングエアを不要とする「超高塗着エアレス塗装システム」開発した。

<HOT Topics>
自動車運転再開に向けた認知機能評価支援システム

本稿では、高次脳機能障害患者の自動車運転再開にむけた評価支援を行うために、静的なタスクであるTrail Making Testと、動的なタスクであるドライビングシミュレータを組み合わせたシステム開発について紹介する。次に、注意の遷移を定量的に計測するための視線計測システムを併用した認知機能の評価支援システムについて紹介する。

<HOT Topics>
過渡条件下でのICエンジン熱負荷予測解

過渡運転時のエンジン熱負荷を予測するシミュレーション技術を紹介する。1D熱モデルは、3D筒内およびクーラント流れ解析の境界条件として使用され、エンジン構造物への入熱として使用される。車両-流体-構造連成解析のモデル化およびシミュレーション精度、エンジン設計に与える影響について示す。

<HOT Topics>
エンジン燃焼室内の壁面熱伝達現象の解明およびモデル構築

壁面境界層内の乱流生成と散逸の関係が、未発達乱流境界層では発達した乱流境界層と異なる。この違いが壁面熱伝達現象へ影響を及ぼすため、この影響を考慮する新たなモデルを提案した。本モデルをCFDに適用することで、未発達な乱流境界層における壁面熱流束を、正しく予測できることを明らかにした。

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