自動運転の技術をバラす!
Configuration of Automated Driving Technologies

運転支援技術の普及、レベル3自動運転の製品化、各地でのレベル4自動運転の試行など、自動運転技術はさらに大きな広がりをみせる一方で自動運転技術は様々な分野の技術で構成されており、全体を理解することは難しいと考えます。本号では自動運転を構成する個々の要素技術の基本に焦点を当てた記事を幅広く掲載いたしました。是非ご覧ください。

このページについて

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自動運転を構成する技術

自動運転車では数多くのセンサやECU、AI、通信技術等が使われており、これらによってドライバの助けなしに安全を確認して目的地に向かうことができる。本稿では各々の技術を紹介する代わりに総括として自動運転車の最大の課題である安全性を確保するための国際規格やガイドライン、安全性の評価・検証技術を紹介している。

自動運転のための行動計画・経路生成・車両制御技術

複雑な環境下において安全で滑らかな車両挙動を実現する自動運転技術として、実行可能性を保証した行動計画技術、車両運動を考慮した経路生成技術、及びモデル予測制御を用いた車両制御技術を開発している。これら技術を組み合わせることで、周辺環境に応じた適切で安全な車両挙動が実現できることを実車試験で確認した。

モデル予測制御を使って「うまい運転」を自動運転で実現する

近年、多くの企業が自動運転の技術開発に取り組んでおり、安全性と信頼性を備えた自動運転の実現が極めて重要である。本稿では自動運転の「判断」の部分に着目し、安全・安心かつヒトのような「うまい運転」を目指したモデル予測制御(MPC)による軌道制御手法について解説する。

ステレオカメラの認識技術とその応用

ステレオカメラの基礎技術と諸課題について述べる。交差点などの広い画角をカバーしつつ、かつ遠距離の車両を検出するために、新たに開発した望遠ステレオと広角ステレオを組み合わせた4眼ステレオカメラについて紹介する。また、ステレオカメラにディープラーニング技術を適用して実現した3次元物体検出の一例について紹介する。ステレオによる距離情報と2次元物体認識とインスタンスセグメンテーションの結果を統合した3次元物体検出システムをニューラルネットワークにより構築することで、より高精度な3次元物体検出が実現できた。

自動運転のための LiDAR 技術

LiDARは空間分解能が高く、レーダでは難しい高精細な3D地図を作り出すことができるため、高度自動運転の走行環境センサとして復活している。本稿では、これまで車載LiDARがどのような経緯を経て開発されてきたかを示すと共に、自動運転向けLiDAR技術の原理、特にファンビーム成形方法を解説する。また、レーダに劣っていた計測遅延問題を将来的に解決できる可能性を紹介する。

ミリ波レーダ技術の自動車分野への応用

本稿では、レーダ技術の基本原理や動作を分かり易く解説した後にミリ波レーダの特徴や様々な産業応用例を紹介する。次に高度化していくミリ波レーダ技術を説明しながら、自動車分野への展開として走行路監視技術およびドライバや乗客監視などの車室内監視技術について概説する。

次世代高精度3次元地図技術

自動運転車および先進運転支援システム搭載車にて利用されている高精度3次元地図について、その内容・生成プロセスを述べる。また、2021年度より開始した一般道路向け高精度3次元地図(次世代高精度3次元地図)の特長と課題について述べる。

準天頂衛星システム「みちびき」が提供するサービスとその活用事例の紹介

内閣府では2018年11月より、準天頂衛星システム「みちびき」による衛星測位サービス、測位補強サービス、メッセージサービスの提供を開始しており、その活用も広がりをみせている。本稿では、みちびきの提供サービス、日本やアジア・オセアニア地域におけるその活用事例、今後の開発計画等について紹介する。

自動運転における通信技術の基本と仕組み

車車間通信や路車間通信といったV2Xの基盤となる無線技術を解説する。まず、1990年代以来使われてきた技術と新提案の勃興、行政府による決断といった経緯を報告する。次いで今後の発展の方向を示し、同時に期待される用途に触れる。自動運転社会実現に向けて開発が進む新世代の無線技術の一端を報告する。

車載カメラを用いた運転行動分析のためのドライバ状態推定

本稿では、車載カメラの画像から画像処理によって、ドライバの顔向き、視線移動の推定、顔のスケール情報をもとにした前屈み行動といったドライバ状態を推定する手法について紹介する。その応用例として開発したシステムを用いた見通しの悪い交差点での運転指導員の運転行動分析の例を示す。

<HOT Topics>サウンドデザイン─直列4気筒ダウンサイジングターボエンジンにおける「軽快感」を満足する音質

直列4気筒ダウンサイジングターボエンジンの“軽快感”について研究した。低回転高負荷運転で発生するランブル音と、目標の“軽快感”との関係を明らかにした。そして“軽快感”を実現するため、影響ある部品の諸元を決定した。また、先行研究により定義された軽快感と、本研究で定義した“軽快感”との比較考察を行った。

<HOT Topics>Simulink® モデルの自動生成によるMBD の最大活用

モデルベース開発において、機能検証のためのシミュレーション環境を構築するモデル化やデバッグ検証に多大なコストと時間をかけていることが課題として挙げられる。そこで、これらの課題を解決してモデルベース開発のメリットを最大化するために開発した本工程の自動化機能を紹介する。

<HOT Topics>超臨界流体シミュレータによる遷臨界・超臨界流体の流動解析

超臨界流体は臨界点以上の流体と定義されており、冷媒や溶媒として様々な応用技術が提案されている。我々の研究グループでは超臨界流体シミュレータを構築して、超臨界二酸化炭素や超臨界水、超臨界炭化水素の臨界点近傍における流動の解明を図っている。本稿では超臨界流体シミュレータのこれまでの応用事例を紹介する。

<HOT Topics>マグネシウム合金二次電池の開発状況

ポストリチウムイオン電池の候補であるマグネシウム合金2次電池において、負極用材料として電気的活性の優れるCu添加マグネシウム合金の開発を開発したため、その状況を報告するとともに、マグネシウム2次電池全体の開発状況を簡単に解説する。

<HOT Topics>移動機構を複数もつパーソナルモビリティビークルならではの搭乗者支援の一考察

パーソナルモビリティビークル(PMV)は日常的に活用されているが、車輪機構しか持たないPMVでは不整地移動は難しい。そのため、複数の移動機構を持ち移動性能を高めたロボティックホイールチェア(RW)の開発もされている。和歌山大学ではRWならではの搭乗者支援の研究を進めており、本稿では現状の考えを報告する。

<HOT Topics>水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)について

水素バリューチェーン推進協議会(JH2A)は、サプライチェーン全体を俯瞰し、業界横断的に取り組むオープンな組織として、社会実装プロジェクトの実現を通じて水素社会を早期に構築するという理念に賛同する企業によって、2020年12月に設立された。設立から1年が経過し、より活発な活動を推進するため、2022年4月より一般社団法人として活動を開始する。本稿では、これまでの活動と一般社団法人化後の組織体制について紹介する。

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