EVコンポーネント技術の進化
Evolution of EV Component Technology

自動車はカーボンニュートラル達成のため電気自動車(EV)一択のような風潮となっており、米国・欧州・中国を中心にEV 普及が加速しています。一方で、日本には他国に先行しているHVもあるがEV 普及には出遅れ感もあり「日本のEV 普及は今後どうなる/ 自動車産業は世界で戦えるのか?」とご心配の方も多いと思われます。本号ではEV を構成する電池・モータ等の要素技術の最新開発状況から「技術開発では負けない日本」をご紹介した記事を掲載いたしました。

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電動化の推進に向けた、充電インフラ・蓄電池に関する取組の方向性

電動化推進に向けた国内外の動向や脱炭素社会を目指す動き、充電インフラの整備、蓄電池に関する動向や、それら解決策等の取組みについて紹介する。

電動車普及の車両面からみた技術課題と解決策

欧米中を中心に市場が急拡大する電動車両。しかし、急拡大に伴い、電動車両、特に電気自動車やプラグインハイブリッド車には、車両の歴史が浅く、進歩が早いだけに、技術的課題が顕著になってくる。これらについて、筆者の見かたと解決策について考察を行う。

経済安全保障の車載電池事業と日本の課題

車載電池事業はグローバル競争が活発になっているだけでなく、経済安全保障という政治色の濃い産業へと変遷を遂げている。明治時代から世界の最先端を走ってきた日本の電池産業であるが、2010年以降は韓国、中国勢の追い上げにより、事業規模では後塵を拝している。電池業界の課題解決に向けた対応が急がれる。

全固体電池開発の現状─材料技術と課題

次世代のエネルギー貯蔵デバイスとして、固体のみで構成される全固体電池が注目されている。以前から電池を固体化する試みはあったが、リチウムイオン電池の電解液の特性に匹敵する固体電解質の開発をきっかけに、車載用電池として開発が進んでいる。全固体電池の研究および技術開発を概観し、電池を固体にした際の利点と欠点を整理し、これからの技術開発課題を述べる。

主機用モータ・インバータの高性能化と高機能化

電気自動車(EV)およびハイブリット車(HV)用主機用モータはここ20年で著しい発展をしており、設計技術と生産技術の向上、および永久磁石や電磁鋼板の性能向上によりトルク密度で2倍以上、出力密度で3倍以上の性能向上を果たしている。近年ではモータ・インバータの大容量化のニーズから、さらなる出力密度向上と効率向上が要求されており、あらゆる分野での技術革新が進んでいる。本稿では近未来のモータ・インバータ技術として重要となるであろう5つの技術をとりあげ、その内容について開発事例2例を交えて紹介する。

高出力HEV およびPHEV用新型モータの開発

昨今の厳しい燃費規制を背景として、幅広い車種への展開を見据えた高出力HEV及びPHEV用の新型モータを開発した。本モータは燃費に加え、体格/性能に妥協せず、高出力化を実現することを開発の狙いとしている。そのため、高出力対応として並列結線構造、2系統冷却構造を採用した。

小型ハイブリッドシステム用低損失モータの開発

HEVシステムを小型車両に適用するために小型した駆動用モータの新規で開発した。小型化による発熱が課題になるが銅損と鉄損をそれぞれ低減する技術を新規採用することで損失低減を行い、従来モータに対して10%の小型化と14%の損失低減をすることができた。

電動パワートレインのためのベルト式無段変速機の開発

将来のカーボンニュートラルなモビリティへの移行に伴い、電動パワートレインによる更なるソリューションが期待されている。効率、適応性、可変性、そして快適性といった電動パワートレインに対する高い要求は、無段変速機(CVT)に注目を向けさせることになる。なぜなら、CVTは高い車両性能を実現しながら、電動機を効率良い作動点で駆動することができるためである。本文では、電動パワートレインに最適化されたCVTを用いたソリューションを紹介し、Cセグメントから小型商用車までをカバーするモジュール化CVTの設計を提案し、KPIの改善とさらに広い可能性により、CVTは将来の電動パワートレインに貢献できることを紹介する

100%電動駆動ハイブリッド車用AWDシステムの開発

従来のAWD(All wheel drive)システムは、内燃機関が発生する動力を機械的機構によって前後輪へ配分することによって実現されてきた。一方近年の電動車では、1つの動力源からの動力を前後に配分するのではなく、モータを前後に2機装備した電動AWD が採用されてきている。電動AWD はBEVとの組み合わせにおいて、完全に独立した前後の駆動力制御が可能、高いレイアウトの自由度がある、などクルマ造りにおいて有利な点が多い。しかし、内燃機関車との組み合わせにおいては、高応答で充分な出力を得るには高電圧のバッテリーシステムが必要、主動輪を内燃機関で駆動するため従動輪がモータであっても駆動力の制御性には限界がある、などの問題がある。これに対して日産独自の100%電動駆動ハイブリッドシステムe-POWERとの組み合わせでは、高電圧のバッテリーシステムが装備されていることに加えて、内燃機関は発電に特化していることで、BEVと同様に100%電動駆動AWDの恩恵を預かることができる。本記事では、リーフから受け継ぐ日産自動車が考える電動駆動車の走行性能と、その進化の位置づけとして考える100% モータ駆動によるAWD システムの技術的方向性について、新しく発売したノートe-POWER 4WDにより実現した技術と共に解説する。

電動パワートレインのインバータ制御による低振動化

各国で強化されるCO₂排出規制を達成するために、モータなどの電動パワートレインを用いた電動車の開発が加速している。電動車は、燃費向上のためにエンジンを停止させることが多く、電動パワートレイン由来の振動・騒音が問題となる。本報告はその振動・騒音の発生メカニズムとインバータ制御による低振動化手法を紹介する。

<HOT Topics>非接触振動評価に基づく触覚インターフェースの特性評価と最適化

自動車への採用が進む、タッチパネル等に触覚フィードバックを持たせることができるハプティックインタフェース技術は、主に機械振動もしくは超音波を応用したものである。本稿では、ハプティックインタフェースの特性評価を目的とした、非接触振動測定手法を用いた振動および超音波の測定と可視化について検討する。

<HOT Topics>サービス指向アーキテクチャ (SOA) 向けスケーラブル・マルチーカーネルOS

コネクテッド、自動運転、シェアリングサービス、そして電動化されたモビリティは自動車開発者にとって大きなプレッシャーを生んでいる。将来の車両に搭載されるシステムは、高性能かつリアルタイムでなければならず、メニーコアなどハードウェアだけでは部分的にしか解決できない。ハードウェアの進化に合わせた、ソフトウェア側のOSレベルの基盤的な変化が求められている。

<HOT Topics>スマートフォン向け超薄型ベイパーチャンバの商品化と自動車市場への応用展開

近年、スマートフォンメーカー各社のフラッグシップ端末において、熱拡散デバイスであるベイパーチャンバーが多数採用されている。村田製作所はCooler Master社と共同で、超薄型ベイパーチャンバーの開発に成功した。本稿では、開発動向と設計ポイント、そして将来的な自動車市場への応用展開について述べる。

<HOT Topics>化学蓄熱材を用いたオフライン熱輸送システムの開発状況

離れた工場等をまたがる熱の面的利用を可能とすることで地域全体での省エネ、CO2排出量の低減を目指し、化学蓄熱による熱輸送技術の開発を進めている。本報では本化学蓄熱技術の紹介とこれまでの材料、システム双方の開発状況、今後の社会実装に向けた検討状況を報告する。

<HOT Topics>運転支援におけるハンズオフ機能による運転負担軽減の有効性評価

運転支援のハンズオフ機能により、ドライバの認知から操作に至る一連の負担軽減効果が見込まれる。本研究ではハンズオフ機能の有効性を高速道路での実車走行により検討した。その結果、疲労感や作業負荷、心拍変動指標、筋活動の面から効果を示すとともに、運転支援における負担要因と構造、各要因の寄与を明らかにした。

<HOT Topics>IOWN─次世代インフラを支える低消費電力なネットワーク,コンピューティングインフラ

AIなどの最新のサービスは、潤沢な性能とそれに伴う膨大な電力をインフラに求める。IOWNは光電融合技術を活用することで、卓越した性能と低消費電力を両立する次世代のネットワーク、コンピューティングインフラである。オープンコミュニティであるIOWN GFにて、様々なメンバと共にIOWNの開発を進めている。

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