新たなエミッション規制と対応技術
/New Emission Regulations and Corresponding Technologies

本特集号では、自動車の排気エミッション規制が新たな段階に入る中、環境影響評価から計測、対策技術までを最前線の研究者にご執筆いただきました。近年注目される非排気エミッションにも焦点を当て、最新の知見を紹介しています。第一線の研究成果とともに、羽田政明先生の貴重なご研究も収録しました。是非ご覧ください。

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<技術の窓>SDV時代の仕事の仕方

<「技術開発賞」技術紹介>廉価でコンパクトなオフロード向けスタビライザディスコネクトシステムの開発

<「技術開発賞」技術紹介>人の官能に合わせた加減速を提供する制駆動力制御の開発

<「技術開発賞」技術紹介>HLA溶接を用いた一体差厚曲線TWB構造と量産設備の開発

<「技術開発賞」技術紹介>超広帯域レーダによる幼児置き去り検知システムの開発

新たな自動車エミッション規制と必要となる測定技術の進化

粒子状物質に関する欧州の自動車エミッション規制で特筆すべき点はテールパイプPN規制とブレーキ粒子規制である.PN規制においては大気環境基準との整合性,トレーサビリティについて議論がなされたが,概ね克服している.ブレーキ粒子測定法については今後の成熟した評価方法になると思われる.

ブレーキエミッションの規制動向と対策技術

新たな排出ガス規制を定めるEuro7規制では、従来から設定されていた排気エミッション規制に加え、ブレーキ摩耗による空気中の粒子状物質排出量(ブレーキエミッション)の測定が追加された。本稿では各国のブレーキエミッションの規制動向、エミッションの現状、削減技術と課題について紹介する。

日本における沿道・一般環境でのPM2.5およびその成分別濃度の長期変動傾向

近年,日本の微小粒子状物質(PM2.5)濃度は,ほぼすべての測定局で大気環境基準を達成している.仮に米国の基準を適用すれば,沿道局の達成率は半分以下に低下する.PM2.5濃度は経年的に低下傾向にあるが,冬季の濃度極大期にはNO3⁻の割合が高いままである.

自動車の非排気粒子の実態と排出量推計

自動車から排出される粒子状物質のうち、近年、特に注目度が上がっているテールパイプ以外から排出される、ブレーキ粉塵、タイヤ摩耗粉塵、巻上粉塵とはどのようなものか、また排出量の推計方法や実態について紹介する。

タイヤ路面摩耗粒子(TRWP)とタイヤ由来化学物質の環境リスク評価:現状と課題

排出ガス規制の進展に伴い、近年ではブレーキやタイヤ摩耗に起因する非排気粒子への関心が高まっている。なかでも、タイヤ・路面摩耗粒子(TRWP)はマイクロプラスチックの主要な発生源として位置づけられ、重要な環境問題として注目されている。本稿では、TRWPおよびタイヤ由来化学物質の特性や環境中での挙動を解説するとともに、これらに関する最新の研究動向および環境リスク評価の現状と課題について概観する。

Euro7排出規制の最新動向と計測技術
─排出ガス・RDE・ブレーキおよびタイヤ摩耗計測の概要─

2024年に公布されたEuro 7規制は,排出ガス規制の強化に加え,ブレーキ粉塵やタイヤ摩耗粒子などの非排気系排出物(NEE)を新たに規制対象とした.本稿では,Euro 7の策定経緯と最終的な規制内容を概観し,排出ガスおよびNEEの計測技術の適用と課題を整理する.

タイヤ摩耗量規制
─室内摩耗ドラム試験法開発

EU法Euro7ではタイヤ摩耗量も規制対象となり試験法と規制値はUN規則を参照するとされ、国連UNECE/WP.29ではUN R117に既に導入された試験法を基に規制値を検討している。UN R117の試験法は日本から提案した室内摩耗ドラム試験法も採用されており、本稿では試験法開発経緯を紹介する。

次期北米向け排ガス規制に向けたガソリンパティキュレートフィルタの検討

ガソリンパティキュレートフィルター(GPF)は、北米向け次期排ガス規制達成に向けて粒子上物質(PM)排出量を削減する有効な手段である。先行する欧州は粒子個数(PN)が規制対象でありPMに関する知見は乏しい。適切なGPF選定にあたり、PM測定値の精度およびPNとPMの相関関係を調査した。

三元触媒付ガソリンエンジンのNH3排出に関する研究

将来の空気をよりきれいにするために、内燃機関からの排出ガスを低減する取り組みが進められている。近年、内燃機関からの排出ガス規制は厳しくなっており、従来の規制物質に加え、二次粒子PM2.5の原因物質と言われているアンモニア(NH3)もクローズアップされている。自動車の排ガスからもNH3が排出されるため、NH3の排出を低減する必要がある。しかし、三元触媒を用いた実際のガソリンエンジン車において、NH3排出に影響を与えるパラメータは十分に解明されていない。本研究では、三元触媒の化学反応モデル解析と実験によりアンモニア排出挙動を調査し、排出メカニズム、運転パターン、外気温、触媒劣化の影響、主要パラメータについて検討した。

始動時HCエミッション低減のためのHCトラップシステム

エンジン始動直後のエミッション低減を目的に,新しいHCトラップシステムを開発した.トラップ材料としてHC分子の吸着率向上と高温までの保持を可能とする,Ag-CHAとCu-FAUを開発した.これらを浄化触媒と組み合わせフロア下部に配置することで,LA#4モードのエミッション試験で,エンジン始動時のHC排出量を約50%削減できた.

HC成分による触媒一時被毒メカニズムの検証

自動車触媒に排ガス中のHC成分が付着すると、触媒性能が一時的に低下する。一時被毒メカニズムを検証するため、HC成分の種類と触媒への付着箇所を調査した。その結果、排ガスには特定の芳香族HCが多く含まれること、この芳香族HCが触媒中の貴金属とCZ材料の界面に付着すると触媒性能が低下することを見出した。

噴霧分割による燃料と空気の混合促進を可能とする燃焼室形状コンセプトの研究

筒内に噴射された燃料と空気混合の促進による燃焼の活性化は、熱効率向上によるCO2削減や、排出ガス低減に寄与する。本研究では、これまで空気混合が不可能であった噴霧内部を、燃焼室に設けた突起形状により噴霧を分割し暴露させるコンセプトを考案し、CFD解析、可視化試験、単筒実機試験を行った。その結果、噴霧の良好な分散による空気混合と熱効率向上、スモーク排出の低減効果を得られた。

尿素SCRシステムにおけるN2O 排出解析と設計指針の検討

尿素SCRシステムにおいて,NOx浄化に伴う亜酸化窒素(N2O)の副生成が課題である.本研究では,尿素SCRシステムのプラントモデルに含まれる5因子の組合せによる感度解析を実施する.N2O生成要因を解明することで,NOx浄化率向上とN2O生成抑制を両立可能な尿素SCRシステムの設計指針を提案する.

<ホットトピックス>電気鉄道で用いられる集電装置とその特性および測定・試験方法

自動車業界では,様々な方式の電気道路システム(ERS)の研究開発が進められている.一方,鉄道業界では多様な方式の電車線とそれらに適合した集電装置が開発・実用化されている.ERSと電気鉄道では必要となるエネルギー量が異なるものの,機械的なシステムは共通していると考えられる.そこで,ERSの集電装置の開発の一助になることを目的として,本稿では電気鉄道で用いられている集電装置,特にパンタグラフの特性と測定・試験方法を紹介する.

<ホットトピックス>福祉車両に乗車する車椅子利用者の安全性
─安全な拘束装置の提案─

車両に乗車する車椅子利用者の安全性を確保する上では、3点式シートベルトが正しく着用でき、肩ベルト荷重が許容範囲内で、衝突の衝撃に耐え得る車椅子が求められる。そこで、シートベルト装置付き耐20G車椅子を開発し、そのシートベルト装置にフォースリミッターを搭載した。その有効性と安全性が確認された。

<ホットトピックス>ポリウレタンリサイクルの現状と最新の研究動向

従来のリサイクル技術は新たな廃棄物を生む課題があり、特にリサイクルが困難なポリウレタンフォーム(PUF)のリサイクルは重要な課題である。本稿では、副生成物のないリサイクル法を提案し、PUFの原料回収と再生を可能にした炭酸水を用いた加水分解について紹介し、持続可能なPUリサイクルのための課題解決について述べる。

<ホットトピックス>金属3Dプリンタ用高機能アルミニウム合金の開発

代表的な金属3Dプリンタ技術のひとつであるレーザ粉末床溶融法(L-PBF)は,レーザ照射を用いた合金粉末の局所溶融・急冷凝固を通じて,金属部材を積層造形できる.L-PBFプロセスは,複雑形状の製造だけでなく,高機能・多機能を持つアルミニウム合金の製造を可能にする.ここではL-PBFプロセスの特徴を述べ,その理解に基づいて設計した高機能Al-Fe-MnおよびAl-Fe-Cu3元合金の積層造形の試みについて概説する.

<ホットトピックス>鋼球を転がし表面のキズを無害化

表面欠陥を有するアルミニウム合金にボールバニシング(BB)を施工し,その疲労強度を測定した.BBは表面粗さを低減させるとともに,圧縮残留応力を付与することが可能であった.これらの効果により,BBはアルミニウム合金の外観を向上させるだけでなく,表面欠陥を無害化し,疲労強度を向上できることを明らかにした.

<ホットトピックス>3次元形状認識AIシステムの開発と適用

3次元のCAD形状をAIで認識する方法とその活用について、当社ソフトウエア製品を事例に説明する。中立メッシュの生成における生成AIの適用と、テキストによる3次元形状検索を特に強みとし、各ユーザがそれぞれの既存データを学習させることで、より効率的に最適化された自動メッシュ生成を実現するシステムとなる。

<超の世界>「光合成動物細胞」への挑戦
─葉緑体は哺乳類細胞内でも機能するのか?─

<スポットライト>世界初,-40~125℃の広い使用温度範囲で周波数偏差±40 ppmの高精度を実現した自動車向け水晶振動子を開発
─車載ネットワークの高機能化に貢献

<標準化活動レポート>材料部会における標準化活動

<学生フォーミュラの日々 そして 今>ものづくりにおける総合力

<学自研活動レポート>2024年度九州支部学自研活動の紹介

<学自研活動レポート>2024年度関西支部学自研活動の紹介

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