レベル4自動運転において日本が世界を牽引するために
2022 年は道路交通法が改正され、特定地域でのドライバーレスでの走行が認められることとなった。日本は世界に先駆けて、法制度としてSAE の自動運転レベル4 の公道走行が可能となったことを意味するが、今後自動運転分野において、日本が世界を牽引するためには何をすべきかをテーマに、自動運転に関する高い知見をお持ちの方にお話しいただいた。
レベル4自動運転の社会実装に向けた経済産業省の取組
自動運転は、交通事故の削減や高齢者等の移動手段の確保、ドライバー不足の解消など、その社会的意義は大きく、産官学が連携してその社会実装に向けた取組みを進めている。ここでは、自動運転社会の実現に向けた経済産業省における取組を紹介する。
特定自動運行の許可制度の創設について
官民ITS構想・ロードマップにより、2022年度頃の実現が目標とされた、限定地域における遠隔監視のみの無人自動運転移動サービスに係る交通ルールを整備するため、令和4年の道路交通法改正により創設された特定自動運行の許可制度の概要について紹介する。
自動運転の実現に向けた取り組み
国土交通省自動車局は道路運送車両法に基づき、自動運転車の安全基準を策定、公道走行の際に基準適合性を審査している。この取り組みを紹介する。
自動運転の倫理
本稿は、自動運転に関するドイツの規則、EUやイギリスの提言、ISO39003を基に、 産、官、学、民で自動運転の倫理ガイドラインを策定すべきと主張する。そして、10名の学際的な構成員の自動運転倫理ガイドライン研究会で策定された11つの指針案を紹介し、その趣旨と検討すべき倫理的事項を提示する。
遠隔監視のみによるレベル4自動運転移動サービスへの試み
本稿では、遠隔監視のみによるレベル4の自動運転移動サービスへの試みとして、まず、移動サービスにおける自動運転の現状について述べる。次に、遠隔監視のみによる自動運転移動サービスの実現に向けた要件の考察について示す。さらに、経済産業省・国土交通省事業のプロジェクトとして、2022年度中にレベル4の認可とサービス実証を目指して、研究開発や実証を進めている取組みについて紹介する。
自動運転技術の社会実装に向けたみちのりグループの取組み
ひたちBRTでは開発途上にある自動運転技術を早期に社会実装するため、技術開発とサービス運用の異なる立場の企業がチームを構成して進める取組みの紹介を通して、各地で進む社会実装に向けたプロジェクトで求められる技術実装のアプローチについて紹介する。
柏の葉地区で続く自動運転バス営業運行の長期実証実験
2019年11月に柏の葉地区で始まったレベル2自動走行機能を有するバスを使った長期営業運行の実証実験は3年経過した今も継続して行われている。開始当初の様子は本誌にて既にご紹介したところでもあるが、開始後3年余りの間に見られた自動運転に関する動向の一部を紹介しながら、この中にあって柏の葉地区の実証実験で取り組まれている技術開発や研究がどのように進められているのか、その様子の一部を紹介する。本記事は2022年9月時点の状況をもとに執筆されたものである。
自動運転AIチャレンジの概要と展望
自動車技術会では技術者の発掘・育成のための取り組みとして、自動運転におけるAI技術を競う国際的な大会を開催している。本稿の目的は、幅広くソフトウェア人材の誘致を目指して試行錯誤を重ねる本大会の趣旨と狙いについて広く周知するためのものである。
AIロボットカー「JetRacer」を利用した,国内外のディープラーニング応用教育
小型ラジコンをベースにしたAIロボットカーを制作し、AIカーレースで走行させる取組みが世界中で盛り上がりを見せている。今はAI教育の現場でも活用され,その大きな効果が注目されている。本稿ではAIロボットカーに利用される各技術を解説すると共に、企業や高等教育機関などにおける国内外での活用実例を紹介する。
<Hot Topics>新型BEVの加速サウンド開発─Active Sound Control Systemを用いたサウンド開発─
車室内が静粛なBEVのもう一つの特徴である、滑らかでクイックな動的特性を新しいサウンドで演出することで、魅力を創出できると考えた。本稿では、車速、アクセル操作、駆動力などからサウンドをコントロールする電子音響デバイスを活用することで、動的性能と相関の高いサウンドを実現した事例を紹介する。
<Hot Topics>統合環境で高い効果を発揮するダッソー・システムズのVR
昨今高い注目を集めるVR(仮想現実)の製品開発への活用について、3D CADのネイティブデータによるVRが、どのような場面で有効に働くのかを3つの観点から解説する。また3DEXPERIENCEプラットフォームによる統合環境ならではのVR活用メリットや、ハイエンドの3D CADとしての特徴についても述べる。
<Hot Topics>熱電発電モジュールを用いた車両CO2排出削減の実証
熱電発電技術を用いた車両の排熱回収システムに関し、車載用熱電発電モジュール、及びこれを用いた車両搭載試験について紹介する。2ℓ車両への搭載試験ではWLTP走行下で1.9%のCO₂排出削減を、定常走行下で192Wの電力回生を確認することができ、車両の燃費改善に有用な技術であることを実証した。
<Hot Topics>2050年脱炭素に向けた広島シナリオと再生可能炭素源としてのバイオマス
2050年脱炭素のための広島シナリオを紹介する。電化と再生可能電力・原子力の導入が必要である。蓄電池は電力の需供調整に必要だが、経済性から他の可能な技術の導入も求められる。航空燃料、プラスチック、製鉄には炭素が必要で電化では対応できず、これらにはバイオマスを再生可能炭素源として用いるべきである。
<Hot Topics>消費者観点からの運転支援車両の定量評価法に関する研究
近年、先進運転支援の実用化が進展する中で、アセスメント等の安全性評価や社会的受容性の観点が重要になっている。本研究ではADASのコーストレース機能等を対象に消費者観点からの性能評価手法を確立した。システム~ドライバ間の運転遷移領域にも着目し、ハンドル操作介入や車両走路位置等の定量評価を可能にした。
<Hot Topics>スマート社会実現に向けた5Gを活用した自動配送ロボット
物流分野における社会課題は労働者不足と荷物数増大への対応である。社会課題の解決のために当社はシームレス物流ソリューションの実現を目指している。ソリューションを実現するための無人物流手段の一つである、屋外向け自動配送ロボットの実証実験について述べる。