DX 時代の CAE 最新手法

自動車業界において、開発期間の短縮、コスト削減、生産の効率化、高機能化、安全性の向上などの様々な要求に対してCAEの貢献はますます高くなっています。そして今は、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進が求められている時代です。そのため本特集号では、エンジンや安全技術などの自動車の一部の機能や領域に絞った”CAE の活用”を取り上げるのではなく、「機械学習」「 MBD」「データ同化」「クラウド・エッジコンピューティグ」など多岐に渡る領域を取り扱い、CAEの最新事例を取り上げました。様々な業界からの最新事例を紹介するCAEアラカルトとして、本特集号をお楽しみいただけたら幸いです。是非ご覧ください。

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データ科学との融合による新たな自動車CAEの創出

データ科学との融合により発展が期待されるCAE技術について、特に自動車空力に関わる技術を中心に紹介する。機械学習技術と融合した車両空力形状の多目的最適化技術や車両周り流れへのデータマイニング技術の適用、大規模機械学習による車両周り流れの縮約モデル構築などの事例紹介から、新たな自動車CAEを展望する。

「SURIAWASE2.0」によるモビリティ社会の最先端開発コミュニティ実現を目指して

CASEの進展で、MBDによる効率的開発への期待が高い。その際、社内外とのモデル流通によるすり合わせ開発(SURIAWASE2.0)が必須になる。その実現推進組織として(一社)JAMBEは設立された。現在140を超える団体や企業が参画し、流通ガイドライン整備、流通プラットフォーム作成、国際連携、人材育成、中小企業支援などの活動を行っている。

電動車開発における1DCAEの活用

EV車開発において、航続距離の確保等、大きな課題があり、電動車部品の新技術開発と部品の性能を引き出すための制御技術開発が必須となる。そこで創造的技術開発手法である1DCAEを、サプライヤの新技術開発に適用できると考え、開発プロセスのコンセプト構築と具現化のための試行を行ったので概要を紹介する。

機械学習は真の理解や発見に寄与できるか

近年、AI技術の広まりに伴って、対象の科学的理解や科学的発見に機械学習を利活用する期待が高まっている。本稿では機械学習そのものは理解も発見も原理上もたらすことがないことを示し、データから「理解」や「発見」を得るためには何が重要かを議論する。

ヒヤリ経験のデータで駆動する推奨速度ドライバモデルの開発

交通事故の削減に向けて、熟練者の経験に基づく暗黙知のスキルを構造化し、リスクを先読みする運転知能の確立が期待される。不確実条件で成功できる認知に係る運転知能は、どのように実現できるか。本稿では、ドライブレコーダデータの活用として、ヒヤリ経験データで駆動する推奨速度ドライバモデルの開発事例を紹介する。

MBD・MBSEを成功裏に導入するための秘訣─開発のありき姿と現状

プロセスの「設計」と「運用」という二つの視点でMBD・MBSEを導入する上でのポイントを解説する。まず、SysMLなどの記述型モデルを用いて評価対象システムの要求とアーキテクチャを整理し、分析型モデルの仕様書とする。続いて、解析モデルの運用手順を標準化し、業務フローと整合しながらデータとプロセスの流れを定める。

重量車RDE評価に向けたModel Based Testing手法の構築─実路走行環境の再現手法の確立─

重量車の実路走行排出ガス(Real driving emission:RDE)試験に向け、シミュレーション(Hardware in the loop simulator:HILS)を用いたRDEの評価手法(Model Based Testing:MBT)を検討している。今回は、MBT評価に必要な実路走行環境の再現手法を検討した。瞬時毎の道路勾配を簡便かつ高精度に取得するため、電動車の駆動モータの電力情報を活用する新たな手法を確立した。

「ビッグデータ同化」によるゲリラ豪雨予測から異分野応用への展望

データ同化は天気予報の方法として発展してきたが、Computer-Aided Engineeringなど様々な分野での活用も期待される。本稿はデータ同化の概要を示し、スーパーコンピュータ「京」「富岳」を使った最先端研究としてゲリラ豪雨予報を実現する「ビッグデータ同化」を紹介し、異分野応用に向けた将来展望を語る。

都市圏の人の動きを再現するデータ同化の試み─コロナ禍における在宅勤務の急速な普及の再現─

昨今、人の動きに関する膨大なデータが活用されるようになってきた。本研究では、このような人の動きの現状を把握し、行動モデルを構築させ、それをベースに都市の人流シミュレーションを実行した。その結果をマッシブデータに同化させることで、シミュレーションの更新を図り、現在の人の動きに応じたシミュレーションシステムとそれに基づく施策評価方法を開発した。今回はCOVID-19の流行による緊急事態宣言が、在宅勤務や飲食の自粛などに現れたことを再現することを事例として紹介する。

コネクティッドカー向けICT基盤技術とデジタルツイン上での道路交通流の再現に関する技術の紹介

コネクティッドカー向けICT基盤では、大量のコネクティッドカーの情報をリアルタイムに収集・処理する必要がある。この課題解決に向けた技術に加えて、収集した交通データを元に収集できない範囲の交通状況を補間・推定する技術について述べる。

<Hot Topics>ガソリン機関における燃焼圧力の振動発生要因の解析

ガソリンエンジンの実機試験とサイクルシミュレーションにより、筒内圧力振動の高周波成分に対する影響因子について調査した。また、筒内可視化エンジンを用いて圧力振動の発生メカニズムについて調べた。

<Hot Topics>リアルとバーチャルの融合に向けたハイスピードイメージングの適用と事例

本稿では、リアル(現実の現象・実験)側のデータ取得、バーチャル(シミュレーション)側への橋渡しとなる画像解析、リアル(現実の現象・実験)とバーチャル(シミュレーション)の融合における最新の3Dモデルアニメーションに寄与する高速度カメラを用いた可視化手法を紹介する。

<Hot Topics>ヒートポンプシステムのレシーバサイクル化

冷房・電池冷却性能を向上した簡素な新型ヒートポンプシステムを開発した。ヒートポンプのレシーバ化により性能を向上させた。レシーバ化の課題は暖房でのオイル戻りと冷房性能の両立。暖房運転時に液冷媒とともにオイルをコンプレッサに戻す液バック制御を開発し、オイル量の低減と性能向上を確認した。

<Hot Topics>新技術を用いたモビリティサービスの社会的受容性

衰退する地域公共交通に対し、輸送資源の総動員が求められている。これに対応するため電動化や自動運転、AIオンデマンド等の実証試験が行われているが、地域の実情に即していない例も散見される。本稿では実証試験に終わらせることなく社会実装に繋げるために、新たなモビリティサービスの社会的受容性ついて述べる。

<Hot Topics>「何かが違う」をAIで検知,「これから変わる」をAIで予測─波形データ用AI開発プラットフォーム“AlliomWave”

ものづくり現場ではAIの学習に必要な量と質のデータ収集が困難であり、AI機能導入の課題になるケースが多い。この課題に対し、当社では「データがないなら作ってしまおう!しかも大量に!実機がなくてもAIが作れる環境を準備しよう!」という考えのもと、AI生成プロセスを完全デジタル化するAlliom(アリオム)として提唱している。

<Hot Topics>機械学習を用いた自動車空力性能を予測するためのサロゲートモデル開発

機械学習を用いて自動車形状とCFD結果(空気抵抗係数、圧力分布、流速分布)の関係を学習することで、CFDを代替するサロゲートモデルを開発した。本論文では、開発したサロゲートモデルの概要および学習に使用したデータセット、予測精度を示し、提案手法の有用性について述べる。

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