究極の損失低減を目指す内燃機関

日本が世界に誇るエンジン技術は、それに携わるエンジニアの皆さまの地道な努力の積み重ねによる賜物です。 0.1%の損失低減を達成するため、日夜努力が続けられています。この最高峰のエンジン技術をしっかりと支え、さらなる高みを目指すエンジニアの取り組みを読者の皆さまにお伝えしたいと思い、今回の特集を企画しました。 本特集では、損失低減に向けた新エンジン、摩擦損失低減、壁面熱損失低減、排気抵抗低減など日本のエンジン技術を支える専門的な記事を紹介しております。是非ご覧ください。

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内燃機関の摩擦損失低減に向けた研究について

熱効率向上には、HEV/PHEVの冷間時の摩擦低減や、小型・軽量化で顕在化する耐焼き付き性が要求される。また燃料の多様化により燃焼室の環境は過酷化が予想され、燃焼生成物への潤滑油成分の混在の研究ニーズも高まる。本稿では内燃機関の摩擦損失低減の研究動向と実施してきた産学連携研究について紹介する。

熱損失低減に向けた研究動向の総括展望─ディーゼル機関熱損失低減への実験的・計測的アプローチを中心に─

本稿では究極の高効率内燃機関の実現に欠かせない熱損失低減に向けた研究動向の総括展望を試みる。筆者が専門とするディーゼル機関壁面熱伝達の現象理解への実験的・計測的アプローチを中心に近年の関連研究の進展を概説し、今後の展望について述べる。

燃焼の理想追求と抵抗低減にこだわった新世代3.3Lクリーンディーゼルエンジンの開発

新型エンジンでは大排気量によるハイパワー化は元より、大排気量化と理想を追求した新燃焼コンセプトの組み合わせ、ならびに、構造系の機械抵抗低減により、乗用車量産エンジン世界最高レベルの熱効率、及び排気クリーン化を達成した。本稿ではこれらを実現した開発コンセプトと損失低減に寄与した技術について解説する。

パターンコーティングピストンの摩擦力とスカート上油膜分布に関する研究

本稿では、パターンコーティングを施したピストンスカート上の油膜挙動について紹介する。実験及びシミュレーションから、油膜厚さと形状について紹介する。シミュレーションからパターンの最適化を行い、そのパターンのピストンを試作して、実験的に潤滑油膜性状を明らかにした。

エンジン用すべり軸受のなじみ進行を考慮したEHD解析モデル

エンジン用すべり軸受の設計では、構造体の弾性変形や固体接触を考慮したEHD解析が活用されているが、性能予測に重要ななじみ進行は十分に考慮できていない.今回、Greenwood-Trippの弾性接触モデルの表面性状パラメータと突起頂部トランケート量の関係を実験的に明らかにし、構築した表面性状を逐次更新するモデルは実験とよく一致した。

高効率ワイドレンジ新型CVTの開発

継続的な環境対応で電動化への過渡期の今、CVTには高効率化、ワイドレンジ化が求められている。ジヤトコはトルクコンバータ、チェーンなど従来技術を深化させると同時に高出力電動オイルポンプを併用するTwin Oil Pumpシステムを採用して高効率のCVTを開発した。

層状水蒸気遮熱による超希薄燃焼ガソリンエンジンの熱効率向上

50%を超える熱効率の実現を目指し、超希薄燃焼ガソリンエンジンに筒内水噴射を適用した。この際超希薄燃焼の不安定化を招くことなく水の冷却効果を引き出すために、ピストン表面付近に水蒸気膜を形成する「層状水蒸気遮熱」を提案した。本稿では本技術の最適化と現象解明に関するいくつかの取り組みについて概説する。

エンジンの燃費を向上する燃焼室高応答遮熱材料技術の開発

エンジンの冷却損失低減による燃費向上を目的に、燃焼室壁面へ適用する遮熱材料技術の開発を進めている。遮熱材料には熱浸透率が低く、燃焼室内の過酷な環境に耐えることが要求される。この遮熱材料の開発経緯、及びピストンに適用した場合の燃費向上効果を計算と実機で確認した結果を紹介する。

トラック・オフロード排出ガス規制向け次世代型ディーゼルパティキュレートフィルタ

将来、ディーゼルトラックに対する排出ガス規制が厳しくなり、オフロードも追従する可能性がある。これに対応するべく、DPFにおけるスス捕集、圧力損失、アッシュ容積の性能向上が求められる。本稿では、これら要求性能を満たしうる細孔および幾何学構造の特性をもつ次世代型コージェライト製DPFの評価結果を示す。

ガソリン車用PMフィルタの初期捕集率と圧損の評価

本稿では排気ガスの流速と粒径がガソリン車用PMフィルタの初期捕集率と圧損に及ぼす影響についての研究を紹介します。

<Hot Topics>100%電動駆動ハイブリッド車向けエンジン振動改善技術開発

100%電動駆動ハイブリッド車の魅力の一つとなるBEVのような圧倒的な静粛性を実現するため、エンジンの音量低減だけでなく、音質を改善するための設計技術を構築した。

<Hot Topics>自動運転車両と周囲歩行者のコミュニケーション分析・評価─バーチャルリアリティ環境を活用した歩行者の判断・行動と外向けHMI─

本稿は、低速走行の自動運転サービス車両と周囲歩行者との間の非効率あるいは不安なコミュニケーションを低減するための外向けHMIに求められる設計要素を検討している。接近・回避ケースのコミュニケーション場面を再現したバーチャルリアリティ環境を利用して外向けHMIに必要な設計要素を検討した事例を紹介する。

<Hot Topics>長距離走行を可能とする電気自動車向け高効率統合サーマルマネジメント

電気自動車の電力消費、航続距離、急速充電を大幅に改善するポテンシャルを有するサーマルマネージメント。これらを体現するクーラント、冷媒、パワートレインの高効率一体型システムとコンポーネント。

<Hot Topics>無人航空機撮影画像を用いた交通安全対策検討のための交通流解析

交通事故発生件数は減少傾向であるが、現在でも多くの交通事故が発生しており、交通安全対策は今後も継続して行う必要がある。本稿では、交通安全対策検討の際の基礎資料を得る目的で、無人航空機により撮影したビデオ画像より、道路交通流解析を行う方法を示す。特定交差点で交通流解析を行った事例を示す。

<Hot Topics>高〜超撥水機能をもつ射出成形技術の開発

自己洗浄性、防汚性等の機能付与を目的とし、50~100μm程度の比較的大きな微細凹凸をキャビ面に施した金型を用い、通常の成形機ならびに付帯設備による‘射出成形の打ちっぱなし’で撥水性を持つ樹脂部品の開発に取り組んでいる。この開発によりポリプロピレン樹脂で145°(最大155°)の撥水角を確認できた.

<Hot Topics>ISO/TC 314 Ageing societiesにおけるウェルビーイング促進の標準化

国際標準化機構ISO/TC 314 Ageing societies のWG 4 "Wellbeing"は、地域や企業など多種多様なコミュニティでウェルビーイングを促進していくためのガイドラインの作成を目指している。本稿ではISO/TC 314の活動内容の紹介とともに、ISO/TC 314/WG 4の取り組み概要について述べる。

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