イノベーションガバナンス

CASEに向かって技術開発が進められる自動車のシステムは年々複雑になっています。一方,社会に大きな影響を与える自動車産業には,温暖化などの地球規模の課題から、安全やプライバシーなどの倫理的な課題に取り組むことが期待されています。変化が激しく複雑な環境の中で国際競争力を維持するためには、イノベーションのガバナンスを行う必要があるのではないでしょうか。そんな思いから、本号はガバナンスに焦点を当てた課題を具体的に挙げ、その方策を考える特集号としました。新春特集号を是非ご覧ください。

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国際競争に打ち勝つイノベーションガバナンス

運転の自動化、電動化など、従来の自動車を変える技術が本格的に導入されることが予想される。国際競争力を維持するためには、技術開発の方向性を定め、標準化やルールメイキングを先導することが必要である。このような活動には、イノベーションガバナンスが重要と言われている。自動車産業において、標準化、技術革新、産業政策分野において活躍してきた方をお招きして、イノベーションガバナンスとは何か、その目的、今後、求められるものについて、お話しして頂いた。

System of Systemsの社会実装を促進するアジャイル・ガバナンスの構築

本稿では、NEDO委託事業「SoS時代のシステムの安全性・信頼性とイノベーションの両立に向けたデジタルインフラ整備及びガバナンスのあり方に係わる研究開発」について解説する。本プロジェクトでは、SoSから生みだされるイノベーションの価値とリスクのバランスを図り、SoSの社会実装を推進するための仕組み作りを進めている。

データ基盤とモビリティ基盤

本稿では、データの時代に焦点を当て、デジタル技術の進化とともに競争領域が変化していることを指摘する。デジタル技術の進化に伴い、データが最も重要な競争領域となり、データ駆動型社会やデータエコノミーが重要になっている。モビリティ分野も例外ではなく、データ駆動型社会に適応するためのゲームチェンジが求められている。その基本概念として、現在欧州を中心に提唱されているデータ主権やデータスペースを紹介し、具体的にはFIWARE、IDSA、GAIA-X、Catena-Xといった欧州の取り組みや、DATA-EXといった日本の取り組みを紹介する。これらのコンセプトをモビリティ分野に応用したものとして、Japan Mobility Data SpaceとSmart Mobility 2.0の取組を紹介する。2023年にはすでにデータの時代に突入しており、新たな改革の時が迫っている。

デジタル時代の社会・産業構造をデザインする新たなアプローチ

日本政府の目指すSociety 5.0という社会では、これまでの縦割りではなく、レイヤー構造を持った社会・産業アーキテクチャが実現される。急激な環境変化下において、このような社会を実現するには、産業を超えて協調を進めることで、社会として学び続けるとともに、分野を超えた統合的なデザインが必要となる。

自動運転車に関するアジャイル型の制度設計

本稿は、自動運転車に関する制度設計として、人間による運転を前提とする既存の制度をマシンに応用することの問題点を分析し、人間とマシンの能力が異なる特徴をもつことを前提とした、アジャイルでマルチステークホルダー型のアプロ―チを提案するものである。

オープン技術のガバナンスを考える:共有プラットフォームのメカニズムとその課題

ICT分野では、技術が開示・共有されるようになり、様々な企業が相互に技術を活用してイノベーションを生み出している。その一方で、企業間の技術開発を指示・統制することは難しくなっている。本稿では、このようなオープン技術のガバナンスの課題と展望を考察し、自動車産業への提言を試みる。

自動運転をめぐるイノベーションガバナンスの最新動向と日本の戦略

新たなモビリティ社会におけるシステムオブシステムズはUnknown Unknownsな複雑なシステムである。新たなモビリティ社会において、どのように社会受容性を確保していくか?はさらに困難となると想定される。これらの問題に対する欧州、ドイツ、WP29での議論および国際競争ルール形成動向を概説し、日本の課題を考える。

欧州AI規則案の概要と日本企業・自動車産業への影響

自動運転技術など自動車産業においてもAI(人工知能)の活用が進んでいるが、各国におけるAIに対する規制がビジネスに与える影響は大きい。そこで、欧州において成立に向けた動きが見られるAI規則案の内容を概観すると共に、自動車産業を含む日本企業に対する影響について述べる。

自動運転の総合信頼性─ドイツPEGASUSプロジェクトとレベル4自動運転サービスを例に考える

本稿では、ドイツPEGASUSプロジェクトにおける、自動運転システムの安全評価基準、シナリオベーステスト、社会受容性などの論点を出発点として、自動運転サービスの総合信頼性を議論する。現在、4つの国と地域で実施されているドライバーレスレベル4自動運転サービスの総合信頼性を分析し、今後の課題を議論する。

アジャイル・ガバナンスと自動運転システム

本稿は、自動運転システムを含む、Society 5.0における中核技術に対するガバナンスシステムとして近時注目を集めつつある、「アジャイル・ガバナンス」について取り上げ、近未来の法システム、とりわけ法的責任制度の新たな姿をめぐる議論について紹介するものである。

<Hot Topics>初期設計における多性能適正化のためのエネルギー伝達特性を用いたエンジンシェイクの低減

本稿では、エネルギー伝達特性を用いた単性能事例の一つとして、二自由度振動系間のエネルギー伝達特性を用いて、エンジンシェイクの既存の低減方法をエネルギー伝達の観点から解釈する。特に、エンジンシェイクの代表的な低減手法であるエンジンバウンシングとピッチングを連動させる方法や、液封マウントによる方法に焦点を当てる。これらの検討を通じて、エネルギー伝達特性の制御に基づく振動低減策が、解析の精度向上と設計の見通しのよさにおいて非常に有用であることを示す。

<Hot Topics>深層学習を用いたTHOR-ATDの全肋骨変形量の推定

正面衝突事故においては高齢になるほど肋骨骨折を併発して死亡する割合が増加する。肋骨骨折を低減する拘束装置開発には胸部変形量を詳細に計測することは重要である。本稿では、衝突ダミーの計測器付き肋骨の変形量から深層学習モデルを用いて計測器のない肋骨の変形量を推定し、全ての肋骨の変形量を知る手法を紹介する。

<Hot Topics>濡れ性パターンを用いた表面の機能化とその応用

親水部と疎水部の組合せからなる濡れ性パターンを設けると、それぞれの領域での接触角の違いから液滴を駆動できる。星形の親水部を設けたパターンにより水滴は離散的な位置に拘束され、結露と着霜の合体化を抑制できた。また、星形の疎水部を設けたパターンにより、水中の油滴は疎水部の中心に集められ、容易に除去できた。

<Hot Topics>複数の交通政策を考慮したEVのライフサイクルアセスメント

本研究は世界中で進められているEVの完全普及を前提とし、複数の交通政策を想定した交通体系について、ライフサイクルを考慮して定量的に環境負荷を評価することを目的にシミュレーション分析を行った。その結果、環境負荷削減のためにはEVとライドシェアの組み合わせが最も適していることが分かった。

<Hot Topics>複合材料の平滑鏡面研磨を簡単かつ迅速に行える研磨板と研磨法:超時短研磨の開発

研磨は材料物質の観察や表面分析に必要不可欠な工程である。しかし、従来の方法では手間と時間がかかり、熟練の技も必要であった。研磨フィルム用の研磨板を用いた研磨法を開発したことで、簡単に速く平滑に試料表面を研磨することができるようになった。この研磨板を用いた研磨法は、地球科学や材料科学をはじめ、物質を扱う様々な研究分野や産業に役に立つことが期待される。

<Hot Topics>車載カメラ映像の活用を推進!AIモザイクで個人情報保護対応

自動車業界では、自動運転や運転試験での車載カメラ映像の分析や共有、ドライブレコーダ映像を活用した新サービス創出など、映像活用が進むと同時に個人情報保護対応が課題となっている。テレビ局の映像技術から生まれたAIモザイクソリューション「BlurOn」で適切な個人情報保護対応を行う取り組みを紹介する。

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