<技術の窓>持続可能な自動車エネルギーと資源の展望
─対応の方向性と課題─
<「技術開発賞」技術紹介>多様な燃料に対応した車載・ラボ両用の可搬型排ガス計測システムの開発
<「技術開発賞」技術紹介>頭部回転挙動に基づいた新たな脳傷害発生リスク推定手法の開発
<「技術開発賞」技術紹介>8速ATおよび1モータハイブリッドトランスミッションの開発
<「技術開発賞」技術紹介>人を効率的に温め省電力で即効性があり,触っても安全な自動車用輻射熱ヒータの開発
なぜ自動車の運転をしたくなるのか
─能力の獲得と自在な発揮
人間の環境適応能力の獲得と発揮という観点から、自動車運転におけるポジティプな心的状態を論じる。自己拡大感、運転パフォーマンス発揮におけるフローあるいは没頭感、余裕を持ったリソース投入によるゆとり感、リソースを使った高い能力発揮による裁量感や達成感などが起きるのが自動車運転である。
どんなクルマも楽しさが漲る
自分が経験してきたクルマとの付き合いを通じて、いかにクルマと楽しんできたのか、その記憶をたどってみる。結語としては、日本ではもっとクルマ文化を広めることが必要だろう。これはクルマ人としての大きな仕事になりそうだ。
クルマは楽しくなくっちゃね!
名詞に「愛」がつけられる道具は本当に数少ない。その中でももっとも身近なのが自動車だ。だからこそ「クルマは楽しくなくっちゃ!」が、モットーのコラム。クルマと付き合うことで、とてつもなく世界は広がる。
脳波による「運転の楽しさ」の評価法を開発
本稿では、運転の楽しさを評価する上で有効な課題非関連プローブ法について紹介する。実験研究の結果から、ドライバが楽しいと感じているときには事象関連電位のN1振幅が減衰することが示された。この結果は、運転の楽しさが自動的に生起しており、無意識的に注意を捕捉していることを示唆している。
運転に関連する不便益
不便益とは、不便だからこそ得られる益を意味する。たとえば車の変速はオートマよりマニュアルトランスミッションを好む人がいる。この人は、不便な方式だからこその益(運転の楽しさなど)を得ていると考える。本稿は特に車に関連した不便益のトピックの一部から構成される。
「人馬一体」から「人車一体」へ
:ヒトとウマに生じる一体感を手がかりとしたヒトとクルマの一体感の考察
ウマは「人馬一体」という言葉が示すように、ヒトと良好な関係を築いてきた動物である。本稿では、この「人馬一体」感とはどのような感覚なのかについて、心理学の観点から整理する。さらに、ヒトとウマの間で生じる「人馬一体」感を手がかりとして、ヒトとクルマの間にも「人車一体」感が生じる可能性について考察する。
自動車運転における人と機械のインタラクションのデザイン
本稿では、馬車における乗り手と馬のインタラクションの仕方に遡り、馬車から自動車へ継承されなかった馬の安全本能とインタラクティブに対応し合う能力を概説する。また自動化とシェアードコントロールにおける理論と実践を概説することから、安全とインタラクションに係る知能がどのように自動車運転に再実装されてきたかを述べる。本稿では、機械の自律性が高まる時代における人と機械のインタラクションデザインの動向を考察したい。
生理特性と感性評価に基づく操舵感の評価
ドライビングシミュレータを用いて操舵反力トルク特性を評価する実験を行い、嬉しさや快適感といった多様なドライバの感情についての感性評価値の主成分分析の結果と生理指標との相関を分析した。その結果、運転者が操舵反力特性を好んだ場合には、交感神経指標の変化が顕著となり、より集中して運転できる傾向を確認した。
「操る喜び」の実現に向けた旋回時の姿勢制御
車両の旋回時には操舵によるコーナリングドラッグを起因としたピッチ挙動が発生する。このピッチ挙動の位相を前後力制御により調整することでドライバの旋回感を高める技術を開発した。また旋回感を定量評価する指標としてダイアゴナルロールの偏角に着目し、旋回感の主観評価と偏角に相関性があることを確認した。
マツダの人馬一体を支えるエンジンサウンドの開発
マツダは、車室内音環境の向上を目指し、運転に必要な情報を伝えるエンジンサウンドの開発に取り組んでいます。音の周波数とその数、大きさを調整して、トルク変化を遅れなく伝え、運転操作の精度向上を図ります。CX-60/90において、加速時の高揚感や高回転域での伸び感を実現するエンジンサウンドで、走る歓びを提供しています。
自動車との愛着を育むHMIデザインの研究
自動車HMIが進化に伴い、ユーザとの関係性を深めることが重要視されている。本研究は「愛着」に着目し、愛着形成に影響する要素を抽出した。得られた要素をもとに自動車HMIのアイデア創出とプロトタイプを作成し、ユーザ評価によって抽出された要素が自動車に対する愛着を高めることにつながることを検証した。
高齢者の運転寿命延伸に関する研究成果
高齢ドライバーが起こす自動車事故の問題が社会問題となり、運転免許返納へ向けた取り組みは進められてきた。免許返納者が起こす自動車事故はなくなるが、活動量の低下から健康問題を起こす問題が新たに生じている。両者の相反する問題を解消するためには、高齢者の運転可否を適性に判定することと安全運転技能を向上する取り組みを社会システムとして実装する必要がある。
高齢ドライバに対する運転支援と新デバイスへの受容性
─認知行動の経年変化の調査事例とジョイスティックを活用した実験事例─
高齢ドライバーの運転支援について、加齢による心身機能の低下をサポートすること以外にも運転意欲を支援することが重要であることを定量モデルから示した。また、自分のタイミングで自動で車線変更できる自動走行機能には、次も使いたい要素が含まれていることをドライビングシミュレータ実験により明らかにした。
<ホットトピックス>実路走行時のガソリン車からのアンモニア排出挙動の解析および小型PEMSを用いたリアルワールドエミッションの解析
近年、三元触媒内で生成されるNH3排出が問題となっている。本研究では、PEMS、SEMSを搭載した三元触媒付直噴ガソリン車両を用いて、実路でのNH3排出量を調査し、運転挙動の違いがNH3排出量に及ぼす影響を明らかにした。また小型PEMSを使用した実道路走行試験手法の必要性について述べる。
<ホットトピックス>手首装着型センサを活用したドライバ心身状態の計測
本稿では、手首装着型センサを用いたドライバ状態の計測手法を紹介する。ドライバの手の動きを手先加速度として計測し、信号処理および機械学習の手法を用いて、その変化からドライバの行動内容や心的状態の変化を推定する。本アプローチは、スマートウォッチなどに用いられている汎用的なセンサデバイスで実現可能であり、簡便かつ低コストで、プライバシーにも配慮したドライバ状態の検出・監視を実現できる可能性を有する。
<ホットトピックス>材料リサイクルのための情報プラットフォーム展開についての考察
─ネットワーク効果からの示唆─
近年、温室効果ガスの削減やサーキュラーエコノミーの推進が世界的な課題となっており、EUや日本など各国は、そのための情報プラットフォームの構築に取り組んでいる。本稿では、材料リサイクルの現状と課題をふまえ、ネットワーク効果やプラットフォーム構築の視点から、今後の日本の取組の示唆を提示する。
<ホットトピックス>製造DXの現状と将来に向けた推進のポイント
─「データ収集・蓄積の壁」と「データ利活用の壁」の傾向と対策─
生産現場へのDX活動が進んでいるが、新設の工場以外では工程単独での取り組みにとどまっているケースが非常に多い。工場全体に製造DXを広げる活動では、工程に個別導入する場合とは異なるさまざまな課題が発生する。実際の導入事例をもとに、大規模導入時に特有の課題について傾向と対策を述べる。
<ホットトピックス>マテリアルズ・インフォマティクスによる新材料開発
高機能性材料の研究・開発・製造において、既存のデータを用いて機械学習により数理モデルを構築した後に、ベイズ最適化によりモデルの外挿領域を予測して新しい分子・材料・プロセスを提案する。さらに、モデルの直接的逆解析により物性・活性等の目標値から分子・材料・プロセスを直接導く新しいアプローチもある。
<ホットトピックス>塑性加工CAE活用における落とし穴とその対策
─Simufact Formingの事例紹介─
本稿は、塑性加工におけるCAEの重要性と、Simufact Formingを用いた具体的な解析手法を紹介する。シミュレーション結果と実加工結果の不一致という課題を解決するため、モデリングや材料データなど様々な要因の検討が重要であると論じる。今後の改善と製造業の競争力向上への寄与が期待される。
<超の世界>Slow Electronics:エッジで低消費電力で機械学習するための神経模倣素子の動作実証に成功
<スポットライト>シロクマだって持ち上げられます!ミドリムシからできた,自動車用構造材料のバイオベース接着剤
<匠の技>精密加工の職人技:高精度と技能伝承の道 齋藤 守氏
<学生フォーミュラの日々 そして 今>ドライバで得た技術者にとって大切なこと