最新のボデー構造とそれを支えるDX

本号の特集テーマは「車体」です。DX(デジタルトランスフォーメーション)が常識となった現在、一見変わらぬように見える自動車ボデーも進化を遂げています。本号では、ボデーに関わる最新技術への理解を深めることを目指し、DXを駆使した「設計開発手法」や、多岐にわたるボデーへの要求性能の中でも重要度の高い「安全構造」に焦点を当てました。自動車のみならず、船舶、航空機の船体・機体についての最新技術も寄稿いただいております。是非ご覧ください。

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<技術の窓>カーボンニュートラルエンジン燃料:e-Fuel ─ 二酸化炭素は廃棄物にあらずして資源なり

車体構造の新機能を創成するための計算工学の未来

デジタルデータとの融合性、人に優しい車体構造、オイラー型解法、および3D生成AIなどのトピックに焦点を当て、車体構造に新しい機能を創造するための計算工学の可能性について議論します。計算工学は、実験の代替手段から車体構造の技術革新のための有効であることを示した後に、機械学習やAIなどのデータサイエンスを計算工学に取り入れることが不可欠であることを説明します。さらにスーパーコンピュータやオイラー型解法を用いた数値シミュレーションのいくつかの例や、構造力学的な考慮した3D生成AIの実現可能性の研究例などを示します。最後に、車体構造の計算工学の将来に向けた挑戦や好機について述べます。

衝突安全技術から見た自動車車体の現状と将来

自動車の電動化による総走行距離を拡大するためには、電費改善が必要であり、衝突安全性能向上だけでなく車体の軽量化も避けては通れない重要な技術である。本報告では自動車車体の技術として材料技術や最適化のためのコンピュータ解析(機械学習)、車体構造で検討されるキーワードなど衝突安全技術全般に着目して自動車技術の動向を述べる。

MAZDA CX-60の軽量・高剛性ボディー開発

Mazda CX-60は、これまで採用してきたボディー技術を更に進化させたラージ商品群の第一弾モデルである。走る歓びを提供するため、人間中心の開発哲学に基づき、自分の手足のように操れるクルマの実現を目指した。エネルギー伝達・コントロールによって実現した軽量・高剛性ボディー技術について紹介する。

新型エルフの車体技術

新型エルフの開発では、お客様の要望に応え、昨今の物流業界のドライバー不足やカーボンニュートラルといった社会課題の解決に貢献するため、トラックに求められる姿を実現した。本稿では、新型エルフの車体技術とその開発コンセプトについて紹介する。

多目的設計探査手法を活用した車体質量と剛性のトレードオフ検討技術の開発

本報では、多目的設計探査手法を活用した車体質量と剛性のトレードオフ検討技術を提案する。部品板厚を対象としたサンプリング計算後、機械学習にてサロゲートモデルを構築する。サロゲートモデル活用にてパレートフロントを明示、パレート解の仕様から目標達成の対策検討を実施可能であることを示した。

メカニカルメタマテリアルと最適化によるバンパコアの材料代替設計

メカニカルメタマテリアルを用いた材料代替設計について解説する。具体例として、バンパーコアの材料を発泡プラスチックから汎用プラスチックに代替した事例を紹介し、歩行者保護性能と軽衝突安全性能という排反する要件を満たす最適化手法を提案する。

電気自動車の電池保護に寄与する波板型エネルギー吸収部材の構造検討

電気自動車の電池保護を目的として、サイドシル内に配置することを想定した鉄製の波板型エネルギー吸収(EA)部材について検討した結果を紹介する。この部材のEA効率は、形状因子によって変化する圧壊時の変形挙動と材料強度の両影響を受ける。特に、圧壊時の面外変形量が小さい場合に材料の強度特性が発現しやすい。

連続異形閉断面構造を用いた高性能軽量ドアビームの開発

STAF(Steel Tube Air Forming)は高強度且つ、長手方向に連続的に断面変化した部材の成形が可能な, 鋼管の熱間ブロー成形工法である。この特徴を活かし、耐衝撃吸収性能の向上と、軽量化を両立した自動車サイドドア用ドアビームの開発を行った。本稿ではその詳細を報告する。

側面衝突における乗員傷害低減のための車体構造技術

側面衝突時の乗員傷害低減のために、Bピラーとドアビームについて荷重勾配を向上させる新構造を提案した。それぞれの単体試験を実施し、新構造の効果を確認した。新構造を搭載した車両のCAEモデルでシミュレーションを実施した結果、ダミーの加速度は56%低減し、新構造によって乗員傷害が低減する予測結果を得た。

船体構造の解析設計と構造デジタルツイン

多分に経験工学的であった造船工学でも、近年では各種のシミュレーション技術が開発され用いられている。しかしながら、その全面的な導入を妨げる事項として、人間の判断に基づく荒天回避や操船をはじめとするシミュレーションに関する不確かさがある。デジタルツイン技術により各種不確かさが解明されようとしている。

将来航空機構造に関する研究事例紹介と技術動向解説

航空機構造に適用したJAXAのバイオミメティクス事例と、モーフィング構造に関する世界的な動向の概要と今後の展望に関して報告と紹介を行う。

<ホットトピックス>タイヤ放射音のメカニズム解析

近年の車外騒音規制は年々厳しくなってきておりタイヤ放射音の低減が求められてきている。一方でグリップ性能等のタイヤ基本性能も高い水準で満たす必要がある。それらを高い次元で両立するためにはタイヤ放射のメカニズムを理解することが重要である。本稿ではタイヤ放射音のメカニズムを、CAEモデルを用いて分析した。

<ホットトピックス>脱炭素社会における電気自動車への期待 ─モビリティ用途と調整力活用の両立

変動性再生可能エネルギー増加による電力需給バランス不安定解消の為、電気自動車(EV)のバッテリ充放電による調整力としての活用が期待されている。しかし、EVは移動用途で使用されることを考慮した調整力予測が必要である。本稿では、多数のEVを群として扱い、統計的な考え方に基づいて調整力を予測する手法を紹介する。

<ホットトピックス>マルテンサイト変態を利用して任意のタイミングで自由に熱を取り出せる金属系蓄熱材料の開発

TiNi系形状記憶合金に加工熱処理を施すことで、低温相と高温相の変態温度を制御した。この合金を60℃まで加熱することで、合金内部に蓄熱した。この状態から室温以下の13℃まで冷却後、約120MPaの引張応力を加えた。その結果、約10J/gの潜熱を意図したタイミングで合金から取り出すことに成功した。

<ホットトピックス>自動車×ウェルビーイングの未来

現在、社会的にウェルビーイングの重要性が高まっている。本稿では、定義からウェルビーイングを概観した上で、それを支援するテクノロジーと方法論について紹介する。その後に、ユーザと自動車との関係の中で、どのようなウェルビーイングな状態が存在しどう支援できるかを現在から未来までの時間軸で考察する。

<超の世界>ナノ材料でつくる高性能誘電体キャパシタ

<スポットライト>世界初 液晶パネルを利用した3D撮影技術を開発

<標準化活動レポート>環境部会における標準化活動状況

<匠の技>ものづくりを好きになる「好きこそ物の上手なれ」 野澤威彦氏

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