先進技術の社会実装に向けて
官民一体でレベル4自動運転技術の社会実装が進められています。新しいモビリティ技術の普及には、日本全体を対象とした政策、制度設計だけでなく、地域ニーズに即したきめ細かい移動サービスを住民が利用しやすい手段で提供することが大切です。本特集では、自動運転を含む移動サービスの地域事例や、先進技術車両に関する記事を掲載いたしました。また巻頭では、2号連続企画、自動車業界のレジェンドと語る「第3回レジェンド企画」Part1を紹介しています。今回は、全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)TEAM MUGENのトラックエンジニア、一瀬俊浩さん、小池智彦さんにお話を伺いました。是非ご覧ください。
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新技術の社会実装を進めていくために
新しい技術等を社会実装するためには、実証実験などを実施して社会の受容や事業性などを見ていく必要があり、自動運転やMaaSなどで実証実験が花盛りである。しかしながら、実験をやりっぱなしで実験だけで終わる実証も少なくない。本稿では社会実装に向けての実証実験の在り方について私見を述べる。
地域公共交通のリ・デザインの推進
コロナ禍によって公共交通機関の利用者は大きく減少し、交通事業者の経営環境は厳しくなっている。地域公共交通再生のため、地方自治体が中心となり、多様な関係者との協働を通じて利便性・生産性・持続可能性を高めていく必要がある。国土交通省においても、新しい法制度や予算を活用し、これらの取り組みを支えていく。
自動運転モビリティ
─クルーズ・オリジン開発ストーリー
ホンダが都内で無人運転車両によるタクシー事業の開始を発表。ドライバーレスタクシーサービス専用に開発されたクルーズ・オリジンに関する技術を紹介する。
移動インフラを目指した地域密着型MaaSの取組み
─トヨタのおでかけアプリmy route─
my routeは、モビリティサービス・生活サービスの提供を通じて、地域経済の活性化に貢献することを目指した事業である。本稿では、そのビジョンや地域の事業者(公共交通、トヨタ販売店など)、自治体との連携事例に触れた後、サービスを支えるシステムやユーザーコミュニケーションなどの仕組みを紹介し、今後の展望を述べる。
福島県浪江町における「なみえスマートモビリティ」を通じた地域活性化に向けた取組み
2021年に日産自動車は「福島県浜通り地域における新しいモビリティを活用したまちづくり連携協定」を締結し、活動を行っている。本稿では、誰もが自由に移動できる「なみえスマートモビリティ」の提供に加え、移動の前後にある地域住民の生活や活動を支え、移動機会の創出による地域活性化に向けた取り組みを紹介する。
AIオンデマンドバス「のるーと」の普及と課題,将来への展望
運転士不足等に伴い路線バスの維持が全国各地で困難になっている現在、AIオンデマンド交通への需要が高まっている。地域交通の一翼を担うAIオンデマンドバス「のるーと」は持続可能で魅力あるまちづくりに貢献することを目指している。
持続可能な地域公共交通を目指した十勝バスの取組み事例
─利用者ニーズを把握した営業活動から交通とまちづくりの融合まで─
本稿では、地方中小都市に営業基盤を置く民営バス事業者が、能動的な営業戦略を通じて乗客のニーズをつかみ、利用者目線の路線バス事業を展開した結果、長らく続いていた乗車人員の減少に歯止めをかけた乗合バス事業における経営の取り組み事例を紹介する。併せて人口減少社会に適合した路線バス事業の在り方について具体事例を参考に公共交通とまちづくりの関係に焦点を当て考察する。
三重県明和町における「めいわmobi」による地域公共交通のリ・デザインの実践事例
─子育て支援,高齢者移動手段確保,観光促進の観点から─
高齢化と過疎化が進む明和町は、MaaSを活用した地域公共交通のリ・デザインに取り組んでいる。民間で運営するデマンド型交通サービス「めいわmobi」は、子育て世代、高齢者、観光客の移動手段確保に貢献している。課題として認知度向上やサービス利用拡大、他の公共交通との連携などが挙げられる。
小さな移動ができるグリーンスローモビリティの社会実装
─地域互助のグリスロは,地域を大きく変える“奥の足”─
近年、地域は少子高齢化の進展、地形や交通利便性などが異なり、買い物や通院などの地域内の小さな移動に窮する地域がある。その地域での実証調査を踏まえ、地域のソーシャル・キャピタルを活用した「地域互助によるグリスロ」を社会実装し、地域活性化の“奥の足”として地域の行動変容の足掛とした。
<ホットトピックス>第3世代ハイテンを活用したAピラー部品試作と性能評価
材料の高強度化に伴い成形性は低下するが、高強度かつ高成形性を両立した第3世代ハイテンを用いることで、冷間成形部品を薄肉化し、自動車軽量化への寄与が期待できる。ここでは、第3世代ハイテンを用いた冷間成形工程の検討、実試作、および性能評価を実施し、革新鋼板の自動車部品への適用可能性の検証結果を紹介する。
<ホットトピックス>自動車の新たな価値創造を支える音振技術
自動車を取り巻く環境が変化している中、日産DNA「他のやらぬことを、やる」のもと、革新的な車つくりに挑戦している。本誌では、環境変化に応じた音振技術として、軽量化・電動化と快適性の両立及び、運転の楽しさ・ワクワク感を進化させるサウンド演出ついて述べる。
<ホットトピックス>ビッグデータを用いた交差点の危険度評価と対策効果推定
トヨタのコネクテッドカーから得られるプローブデータと交通事故データから交差点の潜在的なリスクを評価した。リスクが高い交差点については、郡山市と現地調査を実施し交差点ごとの特徴を見出した。特に大池北交差点については、信号現示時間変更の影響をVISSIMシミュレーションを用いて評価した。
<ホットトピックス>人・機械の協働による自動車工場の部品供給
世界でも有数の少子高齢化大国である我が国において、今後も労働人口の減少が続くことが見込まれる。人と機械それぞれがお互いの弱みを補いながらサポートしあう相互扶助を実現するデジタルツインシステムを構築し、自動車工場の部品供給の協働作業に適用した。提案手法により生産性と身体負荷の両方を改善した事例を紹介する。
<ホットトピックス>スパースモデリングを用いた構造物の設計形状における重要部位の抽出手法
自動車車体フレームの設計画像データと機能量との関係を、スパースモデリングにより定式化し、機能向上に重要な画像の特徴を抽出する手法を開発した。本手法で可視化された断面形状の重要部位と設計指針は先行研究の知見と一致した上、従来にない新たな知見が得られ、技術者の発想を支援する有効性を確認できた。
<ホットトピックス>次世代通信対応高周波プリント配線板向け新規材料と接着技術
次世代情報通信システムでは、高周波領域での高速信号の品質を確保するために、伝送損失の低減が必要である。 次世代通信用高周波プリント基板の伝送損失を低減するために、(1)低誘電正接と難燃性を両立した熱硬化性樹脂、(2)界面修飾化学結合技術による樹脂と平滑銅箔との高信頼性接着技術を開発した。
<超の世界>ついに実現!“鉄”から高活性・高耐久性触媒を開発
<スポットライト>WHILL自動運転サービスの現状と展望
<標準化活動レポート>JASO M 609自動車用部品・材料の腐食試験方法規格およびテクニカルペーパーJASO TP 91001の改正
<匠の技>唯一無二のモノ造り集団を目指して ダイハツ工業㈱ 車両試作部 車両試作室加工改造チーム
<学自研活動レポート>2023年度東北支部学自研活動の紹介
<学自研活動レポート>2023年度関西支部学自研活動の紹介