燃料が内燃機関を変える

エンジンは、エンジン単体で存在できるものではなく、それに適した燃料との組合せによって初めて所望の性能を発揮します。来たるカーボンニュートラルの実現に向けて、エンジンと燃料、それぞれを担う自動車産業と燃料業界が連携し、燃焼法と燃料種の組合せを最適化していく動きが加速しています。多種多様な新燃料が登場し、エンジンもそれぞれの個性にあわせて進化していきます。今回の特集では、合成燃料、燃料組成最適化、アンモニア、さらには航空機・船舶での新燃料導入についての記事を掲載しております。
 また巻頭ページでは5月号に引き続き、自動車業界のレジェンドと語る「 第3回レジェンド企画(後編)」を紹介しております。全日本スーパーフォーミュラ選手権(SF)TEAM MUGENのトラックエンジニア 一瀬 俊浩さん、小池 智彦さんにお話を伺いました。⇒ ⇒ ⇒ 第3回レジェンド企画(前編)是非ご覧ください。

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<技術の窓>物流業界の人手不足を解消する自動車技術

<技術開発賞>融雪機能を有するミリ波レドーム─降雪に負けないミリ波レーダの運用に向けて

<技術開発賞>アクティブサスペンション データベースドプレビュー制御の開発

<技術開発賞>小型商用車用9速トランスミッションの開発

<技術開発賞>電動モータ四輪駆動車の制駆動力制御システムの開発

欧州の合成燃料等の品質調査およびFT合成燃料の自動車用燃料への利用に向けた取組み

CO2とグリーンH2から製造される液体合成燃料(e-fuel)はGHG排出削減への貢献が期待されている。欧州の合成燃料等の品質や規格適合性を調査した。また、製造したFT合成粗油の分析を行い、アップグレードの方向性を検討した。これらから、合成燃料を自動車用燃料として利用するための課題を整理した。

アンモニアの製造技術と課題

アンモニア合成工業は古くそして新しい。アンモニア製造方法の主流となっている、およそ100年前に開発されたハーバーボッシュ法を解説する。アンモニアの原料には化石燃料を使用するが、大量の二酸化炭素を排出してきた。昨今では、地球環境にやさしい低炭素アンモニア製造技術が着目されている。ここでは最新のアンモニア合成技術を紹介する。

自動車の早期低炭素化を実現する内燃機関/燃料組成の開発

自動車から排出される CO2 の大幅な削減にはリーン燃焼など内燃機関の熱効率の向上技術と、燃焼に適した燃料技術の開発が不可欠である。本研究では、リーン燃焼エンジンに及ぼす燃料組成の影響を検証すると共に、その効果を解析することで、ノック抑制とリーン燃焼限界拡大を両立する燃料特性について検討を行った。

パラフィン系燃料の主要な性状変化に対する大型ディーゼルエンジンの性能への影響把握─現状の圧縮比レベルから将来想定される高圧縮比まで─

パラフィン系燃料はそのSoot低減効果から将来燃料として注目されている。しかしどの様な燃料性状がエンジン性能改善に最適かは、各性状の変化範囲が広く且つ他の性状も同時に変化してしまうため未だ明らかではない。本報では異なる性状を持つ燃料における燃焼現象の変化を可視化で捉える事で各性状の性能への影響を考察した。

高含酸素燃料による高性能・超低エミッションディーゼル燃焼

高含酸素燃料は無煙燃焼となるのみならず、小理論空気量であることから噴霧中心部の希薄化による燃焼促進が可能であり、超低エミッション・高熱効率・高性能ディーゼル燃焼を実現できる。排気黒煙は燃料の酸素含有率増加に対してほぼ一元的に減少し、酸素含有率が38%以上でいかなる条件においても完全無煙となる。

内燃機関におけるアンモニア・ディーゼル混焼の基礎特性

舶用エンジンにおけるカーボンフリー燃料としてアンモニアが注目されている。アンモニア燃焼の課題として、難燃性やNO、NO2、N2O、未燃NH3等の排出が想定される。そこで本研究では軽油を着火源としたデュアルフュエル方式に着目し、エンジン実験と数値シミュレーションを用いて燃焼・エミッションの基本特性を調査した。

火花点火エンジンにおけるアンモニア利用

アンモニアは、カーボンニュートラルな燃料として期待されるが、その利用には低い燃焼性と環境への排出抑制に留意する必要がある。アンモニアを分解して水素を生成する改質器とアンモニアの吸着材を既存の産業機器用エンジンに設置することにより、低エミッションな冷間始動、ベースエンジンと同等の機器適用性を確認した。

アンモニア燃料エンジンの燃焼改善に向けた点火エネルギー強化コイルの開発

近年、アンモニア燃料エンジンはCO2ゼロの動力源として様々な用途に開発推進されている。基本的にアンモニアは着火し難い為、エンジンの問題は燃焼となる。そこで点火エネルギーが燃焼に及ぼす影響を確認することで、アンモニアの安定燃焼に対する点火コイル開発の必要要件に反映させる。

航空分野におけるカーボンニュートラルの展望と持続可能な航空燃料SAFの役割

近年、地球温暖化抑止の観点から、二酸化炭素の排出低減がより一層求められている。航空機が取りうる手段で最も有効なものとして、持続可能な航空燃料(SAF)の導入が掲げられている。本稿では、SAFの燃焼特性について著者らの試験結果を紹介し、SAFが持つ利点と課題、今後の展望を簡潔に示す。

LNG 燃料からアンモニア燃料への舶用燃料転換

LNGの大規模海上輸送がそうであったように、環境対策としての発電用アンモニアへの期待と社会的な需要圧力が、アンモニアの大規模海上輸送時代の幕を開けようとしている。本稿ではLNG運搬船からLNG燃料船への技術転用の経緯にアンモニア燃料化の将来を重ねて予測すると共に、技術的な連続性について考察する。

<ホットトピックス>アレイマイクを用いたディスクブレーキ面内鳴きの音源探査と,音響シミュレーションによる検証

自動車の電動化が進み静粛性要求が高まる中、ブレーキのNVH性能の向上は重要なテーマである。我々は、発生時の対策が特に難しいディスクブレーキの面内鳴きをターゲットとして、アレイマイクを用いた音源探査と音響シミュレーションを実施した。その結果、面内鳴き発生時のメカニズムと放射音分布を明らかにした。

<ホットトピックス>微小振動計測・実環境振動計測の信頼性を担保する加速度センサ校正技術

加速度センサの校正は、あらゆる振動計測アプリケーションの信頼性を支える上で重要である。本稿では、近年拡大する計測ニーズに対応すべく、産総研計量標準総合センターが取り組んでいる微小振動校正技術と実環境校正技術の研究開発について紹介する。

<ホットトピックス>路線バス利用者の視点によるバス室内環境の実態調査

近年、地方都市を中心に路線バスの運転手不足による減便や路線廃止等が社会問題になっている。路線バス事業は大きな変革期を迎えている。本論文では、路線バス利用者が感じている室内環境の問題点を特定することを目的に、インターネットアンケート調査を実施し、今後の路線バスの設計基礎資料として報告する。

<ホットトピックス>サーキュラーエコノミー時代の再生可能なバイオベース接着剤

環境への配慮と経済成長の両立への意識の高まりの中、複数部材からなる成形加工品を原材料に分離・回収する技術が求められている。その中で、使用時には十分な接着力を発揮し、役目が終わると容易に剥離することができる新たな接着方法が注目されている。本稿では、海洋付着生物にヒントを得た光で接着・解体が可能な接着剤について解説する。

<ホットトピックス>モータコア金型等の長寿命化につながる超硬合金素材技術

自動車や家電へ採用されるモータ製品の需要拡大に伴いモータコアの台頭が加速している中で、主材料として使用される電磁鋼板を超硬合金工具でプレス加工する場合、適切な素材選定をしなければ金型メンテナンス頻度の増加を招く。本稿では、新素材超硬合金を用いた、金型の長寿命化を図る素材技術について解説する。

<ホットトピックス>製造業におけるデジタルツイン実現への道筋:ソフトウェア動向を踏まえたCAEの戦略的活用

製造業DXにおいてデジタルツインは重要な戦略の一つである。フィジカル空間とデジタル空間の融合により、データ連携が急増し、効率的な運用が不可欠である。本稿ではデジタルツインのためのCAE活用について、データの生成と活用およびモデルの展開の3つの観点から検討し、製造業DXを支える技術について解説する。

<超の世界>導電性ポリマー立体配線で脳型コンピュータの実現へ

<スポットライト>自動運転システムの安全性評価におけるシミュレーション活用

<標準化活動レポート>車両情報インタフェースに関する標準化活動

<学生フォーミュラの日々 そして今>まずは手を動かし,考えながら人を“ 巻き込む” 能力の大切さ

<学自研活動レポート>2023年度中部支部学自研活動の紹介

<学自研活動レポート>2023年度北海道支部学自研活動の紹介

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