変化に対応しつづける振動・騒音技術
Noise and vibration technologies adapting to changes

自動車は、地球、社会、安全環境への対応が求められています。それに合わせて、エンジン、パワートレイン、車体質量、構造、静粛性、快適性への要求は変化し、電動化、運転の自動化などの技術革新も進んでいます。 本号では、年々厳しくなる環境基準を満たし、自動車を支える「振動・騒音」技術の現在とこれからを紹介します。

このページについて

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自動車の騒音等の国際基準調和の概要

自動車にかかる国際基準調和を積極的に推進するため、四輪車の騒音に関する国連規則第51号の第3改訂版と、ハイブリッド車等の静音性に関する対策として、音で車両の接近を知らせる車両接近通報装置に関する新たな国連規則第138号を国内導入されるまでの過程において、日本が行ってきた国際基準調和活動について紹介する。

タイヤ振動騒音研究の焦点

自動車部品中で自動車性能と最多の関係を持つタイヤは、燃費、安全性、騒音、乗り心地などを向上する必要に迫られてる。 この課題解決に必要な新しい視点からの研究として、タイヤと路面との接触、振動音響波動伝播、空力騒音の発生、転動状態での振動音響測定、次世代タイヤ設計に関する最新情報などを展望する。

自動車の振動・騒音対策と振動現象の「本質」

自動車の主な振動騒音について概要を述べ、その中から特徴のある対策事例をいくつか選び解説する。総合的な技術を必要とするロードノイズ対策、非線形音響現象である衝撃波騒音対策、自励振動のワイパビビリ振動対策について述べる。

タイヤ放射音低減技術の紹介

タイヤは低転がり抵抗化の技術革新と同時に、車外騒音や車内騒音の低減も重要な課題となっている。本稿では、タイヤ放射音の発生要因と低減技術について述べる。低転がり抵抗化で背反しやすい振動放射音や、トレッドパターン起因の騒音、接地摩擦振動、溝の共鳴音、およびそれらの低減に向けた取組みについて紹介する。

タイヤ空洞共鳴音を効果的に低減する独自デバイスの開発

CASEに象徴されるような自動車業界の変革に伴いタイヤに求められるニーズも変化している。たとえば、車室内環境には、より高い静粛性や快適性が求められるようになる。本稿ではタイヤに起因する車室内騒音のひとつであるタイヤ空洞共鳴音について対策した独自デバイスの開発について紹介する。

車両快適性の追求─TNGA車両の振動騒音性能開発

新型プリウスを先頭に弊社で取り組んでいるToyota New Global Architecture(以下TNGA)車両の振動騒音技術について紹介する。本稿では、 実現したい価値を具現化する為、車両のボデー遮音性能、気持ちの良い加速感、電磁気騒音、高速定常走行騒音の改善事例について紹介する。最後に将来必要と推察される振動騒音技術について見解をまとめる。

e-POWERを支える振動騒音低減技術

日産自動車が市場投入しているe-POWER特有の振動騒音課題と、それを解決するため開発した実験データを併用したハイブリッドCAEモデルについて紹介する。

フルビークル解析を用いたNVH評価技術の構築

3気筒CVT搭載車において、燃費対策のためロックアップ範囲拡大により、サスペンション共振の影響で、車体振動が悪化する。この振動の改善検討では、エンジン懸架系、駆動系、サスペンション系を含む解析評価技術が必要であり、フルビークル解析技術を構築した。この解析技術により、ロックアップ時振動の低減を検討した。

振動エネルギーの伝達特性に着目した音振動を伝えない
筐体・システム設計手法

本稿では、音振動を伝えない筐体・システム設計手法について考察する。ここでは、音振動の振動エネルギーの伝達特性に着目する。伝達の視点では、音や振動のエネルギーを伝えたくないところには伝えないようにすればよい、と単純に考える。この考えによる振動の低減は、設計の初期段階でも活用でき、設計の後期すなわち対策でも活用できる。本稿では、前者に対しては伝達特性を解析式で考えられる統計的エネルギー解析法、後者に対しては実験やFEMを用いて考えられる振動インテンシティ法の適用事例を紹介する。

CASE時代の自動車の音デザイン

CASEに代表されるように、自動車の社会的位置づけや価値観が変容していく中で、自動車の「音」についてこれから求められるデザイン課題について展望する。車外の音、車内の音について、騒音という観点のみならず、情報デザインとしての音デザイン、価値創造のためのデザインなど多様な観点を示す。

バイク音の感性モデリング

音の感性設計のために構築された「感性モデル」の概念とその具現化のための「感性評価システム」をバイク音評価に適用した事例を紹介する。略2群の音の好みは、「乾き」と表現される音の印象で分類され、4つの音響特徴量で説明できることを示す。また、各特徴量を制御した可聴化により、印象変化の妥当性を確認する。

<HOT Topics>
AIモデルを活用したエンジン部品研削加工工程の品質保証向上

加工部品の品質保証のレベルアップを目指し、加工プロセスを監視する事で品質を保証するAIモデルの開発に取り組んできた。品質に影響する要素を洗い出し、複数条件下でのテスト加工を通して高い相関を持つ特徴量を抽出する事で品質予測モデルを作成、リアルタイムに良否判定するシステムを構築した。

<HOT Topics>
3Dプリンタで“スポンジ状”の金属積層物作製技術紹介
─自動車部品の軽量化へ向けて

超合金にも対応可能な「指向性エネルギー堆積法(DED)」と呼ばれる3Dプリンタは、造形効率が高い一方で形状精度が低いため、特殊な軽量構造や高減衰構造の作製の提案がほとんどない。本稿はポーラスと呼ばれる特殊構造を造形物内部に実現する金属発泡造形法といった、DEDの新たな応用可能性を解説するものである。

<HOT Topics>
水素燃料電池車への期待と課題:エネルギーシステム全体最適と気候変動緩和の観点から

世界エネルギーシステム・自動車選択モデルを用いて、低炭素社会に向けた自動車燃料の最適像および水素燃料電池自動車(FCV)の普及可能性を評価した。その結果、CO₂削減策としては電気自動車やハイブリッド車がコスト効率的であること、そして、FCVの導入拡大には水素価格低減よりも車両価格低減が鍵となることが示唆された。

<HOT Topics>
Society 5.0における社会システムの議論を促すビジョンデザイン

Society 5.0(創造社会)は内容の具体化が求められている。本稿では将来の社会システムに関する議論を促す思索的将来像について、実践をもとに考案した議論のフレームワークを示す。社会課題を捉えなおし、市民の新しい行動の意味とそれを促す施策を議論することにより、将来の社会システムが担うべき新たな機能の探索を進める。

<HOT Topics>
熱可塑性繊維強化樹脂の大型部品における構造解析

繊維強化熱可塑性樹脂は、高強度・低比重であるため、軽量化材として広く用いられている。一方で、繊維配向状態が剛性へ影響するため、製品の性能予測は困難となっている。本研究では、製品の繊維状態を模擬したテストピースを調査し、材料物性を取得した。また、得られた材料物性を用い、CAE剛性解析の精度を向上させた。

<HOT Topics>
車両腐食環境の定量化技術と分析手法の開発

自動車の防錆性能を確保するためには、腐食環境を定量化し自動車の防錆処理の性能が環境に比べて高くなるようにする必要がある。そこで無線化により簡易に装着可能な腐食環境計測装置を開発した。また測定データや気象データなどの大規模データを分析する技術を確立し、腐食環境を予測することが可能となった。

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