イノベーションする自動車エレクトロニクス
Look at, Innovating Automotive Electronics

従来から自動車の発展にはエレクトロニクス技術が欠かせないものとなっており、今後さらに関係を深めていく必要があります。特に、数年前からCASEによる100年に一度の大変革が始まっていると言われます。本号はCASEに深く関連しているエレクトロニクス技術とAIを活用した認識・制御技術の最新動向を紹介します。

このページについて

  • 本ページでは、会誌特集記事の抄録をご覧になれます。
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自動運転の実現に向けた国土交通省自動車局の取組み

国土交通省では自動車の安全基準の策定等による安全なクルマ作りの推進や先進技術を利用した安全運転支援システムを搭載する自動車の開発・実用化・普及の促進などを通じて、交通事故の削減に大きく貢献することを目指している。本稿では自動運転の実用化に向けた技術開発や制度整備の現状など、国土交通省自動車局の取り組みについて紹介する。

自動運転におけるドライバ状態と運転引継ぎおよびドライバモニタリング

ドライバモニタシステムとそれに対応するシステム介入は、安全なレベル2、レベル3自動運転システムに必要なキー技術の一つである。本稿は様々なドライバ状態の運転引継ぎパフォーマンスへの影響に関するISO TR21959の関連情報をまとめ、ドライバモニタリングシステム設計における人間工学的配慮事項を紹介する。

ソリッドステートLiDAR 向け長距離・高解像距離計測技術

レベル4以上の自動運転システム実現には長距離かつ高解像な測距センサがキーパーツとなる。東芝は、自動運転に不可欠な「目」の役割を担う距離センシング技術「LiDAR」において、「ソリッドステートLiDAR」向けに、長距離測定と高解像な3次元点群を実現する受光技術を開発した。具体的には、受光に必要なスキャン機構をチップに内蔵した2次元受光アレイを採用することで、機械式LiDARにとってこれまで必須部品であった、大型の回転ミラーを不要にした。さらにアクティブクエンチ型の受光素子を採用することで、ソリッドステートLiDARではこれまで実現が困難であった測距範囲と解像度の両立を実現した。また距離計測回路についても、ADC (Analog to Digital Converter)とTDC (Time to Digital Converter) の機能を1つの回路に世界で初めて集約したDDC(Dual-Data Converter)は、短距離~長距離の広範囲、且つ、高精度な測距を可能にする。これらの受光技術により、ソリッドステート式において高解像度を実現しながら従来の4倍となる200mの長距離性能を実証した。東芝は2018年に機械式において、当時、世界最高となる200mの長距離測定性能を実現したが、今般開発した技術は機械式と同レベルの長距離性能の達成となる。

自動運転を支える慣性力センサ技術による自車位置推定への挑戦

自動運転レベルが高くなればなるほど、センシング技術には高精度化かつ高信頼性が求められるようになる。本稿では村田製作所が新たに商品化したワンパッケージで6軸検出可能なSCHA600シリーズの概要とその特性の紹介、およびMEMS慣性力センサを用いた自己位置推定に向けた実証実験を示す。

小型二輪車用カードエッジECUの開発

半導体パッケージング製法のトランスファ成型を用い、エポキシ樹脂で一括封止した電子制御燃料噴射システム用のECUを開発した。さらに、このECUと嵌合される新しい挿抜機構と振動抑制機構を採用したカードエッジコネクタを開発した。これらのECUユニットは、従来比5倍以上の生産性と20%のコスト低減を達成した。

ECU間の通信遅れを考慮した高応答アクチュエータ制御技術の開発

統合ECUとブレーキECUを備えた電動ブレーキシステムを対象に、ECU間の通信遅れに伴う制御の不安定化を述べ、対策事例として外乱オブザーバの応用技術を紹介する。外乱オブザーバを応用して、通信遅れに起因した外乱と、モデル誤差などに起因した外乱を分離して推定することを可能にした。また、今後の課題について概説する。

レクサス/トヨタチームメイト アドバンストパーク

駐車が不得意なドライバを支援するため、ステア、アクセル、ブレーキ、シフト操作を行う駐車支援機能を開発した。超音波センサと魚眼カメラにより、全周囲衝突回避支援と通常ドライバ同等の入庫を可能とし、シンプルで使い易いHMI、早さと乗員の安心を両立する速度と経路を実現した、メモリ機能で駐車枠がない場所の入庫を可能とした。

最先端のディープラーニングで実現する高精度かつ低コストなドライバ・キャビンモニタリングシステム

ドライバ・キャビンモニタリングは、自動運転や安全に加えサービスや快適性向上のため、自動車に必要な機能となりつつあるが、実用的な精度の確保と低コスト化の両立が重要な課題となっている。安価なシステム構成で高精度かつ幅広い解析を行うCoDriverが、いかにその課題を解決するか、動作原理を含めた詳細を解説する。

画像認識技術による高精度な自車両の動き推定と他車両の将来の動き予測

普及が進む先進支援システムや実用化を目指している自動運転など、様々な環境下での安全走行の実現が期待されている。それに必要なセンシング技術として、本稿では車載カメラと慣性センサを用いた自車両の動き推定技術と、一般道路の交差点等の様々な道路形状に対応した他車両の将来の動きの予測技術をそれぞれ紹介する。

マルチモーダルセンシング情報に基づくScene-Aware Interaction 技術

我々はEnd-to-End深層学習を用いて、複数のセンサが収集した情報(マルチモーダルセンシング情報)から周囲の状況を機械が自然な言語で理解し、人とより円滑な意思疎通を実現する「Scene-Aware Interaction技術」を開発した。Scene-Aware interaction技術は、カメラで撮影した画像情報、マイクロフォンで集音した音響情報、LiDARやレーダーで取得した位置情報などのマルチモーダルセンシング情報から、何がどこでどのような状態にあるのか、誰がどこで何をしているのか、といった周囲の状況を機械が自然言語で理解し、人間との会話の文脈も考慮して応答文を生成する技術である。本Scene-Aware Interaction技術は、ロボットやモニタリングシステムといった状況理解に基づき人間とインタラクションを必要とする様々なシステムへの応用が期待できる画期的な技術である。本稿では、その応用例として車載の様々なセンサから取得された複数のセンサ情報に基づき状況を理解し経路案内を行うシステムを紹介する。

<HOT Topics>
太陽光エネルギーによる過酸化水素製造とその水素キャリアとしての利用

過酸化水素(H₂O₂)は、副生成物として水のみを放出するクリーンな酸化剤であり、パルプの漂白、消毒剤、あるいは有機合成試薬として幅広く利用されている。H₂O₂は貯蔵・輸送の容易な液体であるほか、穏和な条件下での半導体光触媒反応により、地球に豊富に存在する水とO₂から合成することができるため、新しいエネルギーキャリアあるいは水素キャリアとしての関心が高まっている。本稿では、太陽光エネルギーを利用する水とO₂からのH₂O₂合成と、H₂O₂溶液からのH₂合成における最近の展開をまとめた。

<HOT Topics>
機械学習を用いたエンジン筒内ガス流動のメカニズム解明

エンジン筒内において、燃焼効率に悪影響をもたらす特定のタンブル流の存在が知られている。本研究では、そのタンブル流の発生メカニズムを特定すべく、蓄積されたシミュレーションデータに対して機械学習を用いて分析した。本分析で解明したタンブル軸と乱流強度の関係について報告する。

<HOT Topics>
MEMSセンサを用いたエンジン壁面における局所瞬時熱流束計測

本研究ではMEMS技術を用いて薄膜抵抗体式センサを開発し、エンジン壁面での熱流束測定を行った。その結果、熱流束はサイクルごとに大きく変動することを明らかとした。さらに、熱流束変動から移流速度を推定する手法を開発した。PIVとの比較から、推定された移流速度が速度境界層外縁付近の流れに対応することを明らかにした。

<HOT Topics>
新しい遮音材料「音響メタマテリアル」

メタマテリアルとは波動の物理特性を自然界には存在しない状態に変える新しい材料である。メタマテリアルは電磁波を対象にアンテナの小型化等に応用されてきたが、近年になり音響波を対象とした応用が進展した。この応用例として軽量でありながら遮音性が高い材料である音響メタマテリアルに着目し、その特徴と示す。

<HOT Topics>
自律システムの犯すミスを私たちの社会は許せるのか?─法学者が描く自動運転時代の社会システム─

自動運転システムを含む自律システムによって構成される、いわゆるSociety 5.0は、巨大、複雑かつ動態的な性質を有している。しかし、現行の法制度、特に刑事法は、この新たな社会において十分に機能することができないかもしれない。というのも、現行刑事法が前提としていた状況と未来社会の状況との間に大きなギャップが存在するために、イノベーションを促進することも、リスクを適切にマネジメントすることも難しいからである。近い将来に生じうる困難を避けるために、著者は刑事司法制度にもいわゆるアジャイルガバナンスの方法論を取り入れ、官民協働で変化し続ける不確実な状況にシステムを適合させていくべきであると主張する。

<HOT Topics>
自動運転アプリケーションを想定したメニーコアスケジューリング手法

近年、組込みシステムの大規模化、複雑化により、マルチ/メニーコアプロセッサを利用した低消費電力と大規模計算を実現する必要がある。本稿では、Kalray MPPA-256メニーコアプロセッサを対象とした、自動運転アプリケーション向けのスケジューリングアルゴリズムを提案する。

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