次世代ITSと自動運転に関する国土交通省の取組み
						国土交通省道路局では、道路を利用するモビリティにも変化や運転手不足など道路に関連する課題に対して、その解決や新たな価値の創造を目指した取り組みを進めている。本稿では、特にITSに焦点を当て、次世代のITS構築に向けた取組みと自動運転に関する取組みに分けて、現状を紹介する。
				
						 
					
						
						「自動運転レベル4等先進モビリティサービス研究開発・社会実装プロジェクト」RoAD to the L4の紹介
						RoAD to the L4は、経済産業省と国土交通省の連携事業として、2021年から5か年計画で事業を推進している。本プロジェクトは、ヒトの移動に関する取組テーマとして、テーマ1、テーマ2、テーマ4、モノの移動に関してはテーマ3で取り組んでいる。また、本プロジェクトはこれらのテーマのほか、本プロジェクトで得られた技術的知見や許認可プロセスのノウハウ、サービス実施によって得られた経験等を、自動運転の実用化に向けて取り組んでいる各地域の事業に横展開する総合調整コンソーシアムによる事業を加えた5つの事業で構成している。
				
						 
					
						
						ITS分野における無線通信技術
─運転支援から自動運転へ
						車両走行の安全性や移動の利便性の向上のために、携帯電話や路車間・車々間通信を利用して、歩行者・自転車や他車両、信号機の状態に関する情報の共有が行われている。運転支援から自動運転に向けて、国際的に検討が進むITS分野における無線通信技術の仕組みや要件、国内の実証実験の状況について説明する。
				
						 
					
						
						ISO/TC204における国際標準化の意義
						ITSは道路交通問題の解決のみならず社会を支える基盤として、その存在価値や市場規模が増している。それに伴い様々なステークホルダーとの協調・連携が必要となっており、これは同時にITSにおける標準の複雑性が増していることを意味する。ここではITS分野の国際標準化の意義と果たすべき役割について述べる。
				
						 
					
						
						MaaS時代に向けた地理データの進化
						ITSに関連する地図情報の標準化を行っているWG3は、その対象をカーナビゲーションシステムから走行支援・自動運転に拡大させている。本稿では、WG3での標準化項目の経緯と最新動向、さらに自動運転を対象にした地図についてGDF5.1で導入した「Belt」という概念について示す。最後に、MaaSの実現に向けての展望について考察を行う。
				
						 
					
						
						進展するEFCの国際標準化動向と日本の取組み
						WG5では自動料金収受システム(EFC)の標準化を行っており、近年は主に道路課金に重点を置いている。EFCはその相互運用性に加え、決済手段やサービスの多様化などにより標準化の対象が拡大している。日本は今後も継続的に標準化活動へ積極的に関与し、我が国の強みを国外に発信することが重要である。
				
						 
					
						
						モビリティ社会の実現に向けた路車協調技術の国際標準化と国内研究開発の取組み
						WG9は、交通管理システムにおける機器間IFの国際標準化に取り組んできた。インフラ協調型自動運転の実現に向けては路車間IFの標準化が求められている。本紙では、信号情報メッセージの国際標準化とUTMS協会が進めるインフラ協調型自動運転のための信号情報提供技術の高度化及び国内標準仕様案策定の取り組みについて紹介する。
				
						 
					
						
						自動運転システムに関する国際標準開発の紹介
						ISO/TC204/WG14では、車両の運転支援システムや自動運転システムに関する国際標準規格の作成を行っている。本稿ではこれら国際標準の中から、高速道路専用レベル3自動運転システム、自動バレー駐車・自動バレー運転システム、及び低速自動運転システムの遠隔支援技術に関する国際標準開発について紹介する。
				
						 
					
						
						スマートフォン等のノマディックデバイスを活用するITSに関する国際標準化動向
						本稿は、世界中で普及が進んでいるスマートフォンなどのノマディックデバイスを使ったITSサービスを対象とした標準の策定を行っているISO/TC204/WG17について、概要、標準化対象領域と標準化の重要性、主な標準化作業項目、日本として標準化に取り組むことの意義を説明する。
				
						 
					
						
						電子交通規制情報に関する取組みと国際協調
						省庁共有の新モビリティ対応のデジタルインフラの活用の一例が路車協調の情報提供でありその目的は車載センサーで検知できない先読み情報、見通しの取れない部分の(他車も含め)情報を路側から電子情報として車載器に無線通信を通じて伝えることである。将来、新モビリティの自動運転車が増えてくると、ますます、この路側からの電子情報提供は重要となる。その国際標準化への取り組みをまとめた。	
				
						 
					
						
						<ホットトピックス>タイヤ回転変形再現によるプロファイル差を予測する空力CFD手法の開発
						タイヤはプロファイルによって車両空気抵抗が変化する。プロファイルは車両荷重と回転の遠心力で変化するため、高精度な空力性能予測には両方の考慮が必要だが、形状再現が困難なため回転変形まで考慮した検討例は少ない。本研究では回転荷重変形時の形状を実測し、プロファイル差を予測する空力CFD手法を開発した。
				
						 
					
						
						<ホットトピックス>高齢ドライバの運転能力評価と緊急制動頻度の関係
						高齢ドライバの運転能力の衰えによる交通事故増加が問題視されている。59~86歳の高齢ドライバ25名のドライブレコーダで計測した走行距離当たりの衝突回避緊急制動頻度と運転指導員による市街地の運転能力評価との関係を調べた。衝突回避緊急制動頻度が高い高齢ドライバの運転能力評価が低いことが明らかになった。
				
						 
					
						
						<ホットトピックス>水素キャリア
─水素化マグネシウム(MgH2)について
						脱炭素社会実現にはエネルギー供給と消費双方の脱炭素化が不可欠である。水素は次世代エネルギーキャリアとして注目されるが、貯蔵・輸送が課題。水素化マグネシウムは、高い水素密度、高い安全性、法規制上の優位性を持つ。マグネシウムリサイクルによりコスト課題解決を目指す。石油燃料添加剤や気球燃料など固体特性を活かした新用途も開発しており、脱炭素化への貢献を期待している。
				
						 
					
						
						<ホットトピックス>微小構造の再現による機能付与が可能な金型作製技術
						磁気ミラー型マグネトロンカソードを用いた金属製膜はバイオ材料にダメージなく実施可能である。これにより、高機能性生物試料を金型化することをも可能となった。本稿ではトンボの複眼という数万の個眼からなる立体マイクロレンズを金型化し、その表面のナノ構造から生じる防曇機能までをも再現した技術について解説する。
				
						 
					
						
						<ホットトピックス>ハスの葉のように水をはじき汚れを落とす撥水性構造色塗料の開発
						構造色は、周期的な微細構造にあたった光が、干渉・回折・散乱などの物理的相互作用によって反射されることで生じる色である。本稿では、さまざまなタイプの微細構造由来の構造色の特徴を概説したのち、最近開発を進めている撥水性構造色塗料について紹介する。
				
						 
					
						
						<ホットトピックス>データ駆動型トポロジー最適化が拓く設計パラダイム
						本稿では、従来のトポロジー最適化が抱える解探索の困難を克服するため、生成モデルと進化的アルゴリズムを融合したデータ駆動型最適化手法を提案する。提案手法は、かたちの交叉により感度を用いず順解析のみで最適構造を導出する。乱流熱伝達やCADモデル上での設計問題に対して、その有効性と将来性を具体的に示す。
				
						 
					
						
						<超の世界>ダイヤモンド表面を原子レベルで評価する技術
─ダイヤモンド半導体の高性能化への指針
										
						 
					
						
						<スポットライト>リチウムイオン電池の酸化物負極ダイレクトリサイクル
										
						 
					
						
						<標準化活動レポート>二輪機能安全国際標準化活動の紹介
										
						 
					
						
						<匠の技>アイサイトに込めた技術者達のこだわり SUBARU技術本部ADAS開発部